客心變奏◎楊牧
大江流日夜,客心悲未央——謝脁
我靜默凝視,注意
天體如何交迭從眼前經過
無窮的色彩如何充斥我微微衰弱的心
聲音在四方傳播並且愈來愈雜而強烈──
是各自競爭折射的光干涉著我?當我
聚全部精神試圖這樣將一切捕捉
將一切收攏到我的胸臆,不知道是
落寞還是哀傷,這一刻我面向
大江,遂以多情的手勢招呼著風
一排枯萎的楊柳在彷彿雷霆裏低昂
而我獨立於時空相拍擊的一點
灰白的頭髮朝一個方向飄泊,隨那漸次
轉黯的天色而模糊,終於妥協
肯定一切擁有的和失落的無非虛無
大江流日夜
不要撩撥我久久頹廢的書和劍
我向左向右巡視,只見蘆荻在野煙裏
無端搖曳點頭,剎那間聲色
滅絕而宇宙感動地以帶淚的眼光閃爍
看我,將遠近所有的動力因子緊緊扣住
不讓它以那啓迪之力,以造物驅使的
情懷慫恿我,以衝刺冒險的本能
以欲以望
或者因為那一切或者
不讓我在黑暗裏歎息
在流離的,遠遠被拋棄,剝奪了
愛和關注的陰影裏哭泣:
大江流日夜
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詩人許嘉瑋賞析:
開篇所引句子,典出謝朓(464-499)所作〈暫使下都夜發新林至京邑贈西府同僚〉,題材屬臨別贈答,內容則表達謝朓從人間世的離別思及自身漂泊不定的命運,不免帶有傷懷之悲。楊牧僅取首二句加以敷衍,名為變奏,蓋以謝朓客心之悲作為前理解,藉意象轉譯各種幽微曲折。欲探索楊牧於何處變奏,讀者勢必得圍繞意象展開詮釋。
此詩撰於1992年楊牧在港協助成立香港科技大學人文社會學院之際。香港科大鄰近清水灣,可看見維多利亞港,海浪日夜於窗前起落應對楊牧頗有影響。長於花蓮,求學於大肚山,接著在美國東岸短暫停留後,落腳於西岸近30年,楊牧的生命幾乎都伴隨著海,起伏與漂泊更像明喻。在港期間,詩文作品多半出現水的意象,以水喻時,本為中國文學傳統常見的手法。性質恍若引子的謝朓詩句提到,透露詩人之內心情感與外在環境的交涉,正源自無限時間流中的反覆騰湧,最終趨於永恆。「大江流日夜,客心悲未央」,未央二字,代表內心之悲處在持續未完的狀態。當漂泊難歸故土的「客」清楚知道眼前日夜不斷奔流的江水,從未因無窮盡的悲傷暫歇,日月的升降、江水的流動,都將情感從此際推移至感官所難以抵達的,不可知的未來。個人的客居之感,於此擴及至對人生如寄的未定感,將「我」置諸全宇宙人類命運之共感中思考。
〈客心變奏〉分為兩段,從敘事的角度可知首段主動,次段被動:從我面向大江、凝視大江的各種感官體驗開篇,收束於大江乃至整個宇宙帶給「我」的刺激與反應。謝朓兩句詩分別指陳物色與情感,卻又都具有連綿不盡的「進行式」狀態(流日夜、未央),楊牧卻試圖在古典中迭轉出己意。首段可謂「大江流日夜」的註腳與延伸,「我」介入南朝謝朓的作品並闡發當代意義。主體的沉默專注,率先感受到的並非江水流速,而是天體交迭的過程。從水文到天文,視線的移動也讓從前歷史與眼前所及都成為時間的局部。無窮色彩、光線折射等句子,都聚焦於日景,夜色須至次段後半才正式成為背景。介於二者間,是髮色灰白的「我」融入逐漸模糊的灰白天空中,成為時空相拍擊的一點,將內、外空間的矛盾以感官和諧統一,讓外在遼闊廣大的具體空間與幽微難測的內在心靈相互牽引。充斥、傳播與競爭折射,不只限於視覺的觸動,也夾雜聽覺和觸覺。正因能更彼此交感,是以各種物象之「干涉」才得以被「捕捉」。
飄忽不定的風本該主動,此刻卻如同外在客觀事物受感官牽引。至於本該柔軟而有韌性的楊柳,此刻以枯萎而低昂的姿態出現,「彷彿」二字更清楚告訴讀者剛猛的雷霆並不存在,詩作裡讓楊柳低昂的其實是風,而且是面向時間巨流的敘事者以多情的手勢招呼而來的。宇宙彷彿因此凝視而停滯,眼前天體、大江卻依舊保持運行狀態,所有擁有與失去並存。
第二段延續自我孤獨的點染勾勒,首尾的「大江流日夜」包圍其間的「我」,面向大江的旁觀者遂被日夜撩撥,左右環繞。「久久頹廢書與劍」固可視為詩人特質的隱喻,但書與劍無非古代知識分子的知識追求與現世實踐。書為儒者立身之基,劍為俠客仗義之器,詩作中「我」所言頹廢,彷彿謝朓面對南朝世局發展的心境。蘆荻白頭亦為敘事者之自我寫照,差別在於涉事後,本來的色彩、聲音與光線轉瞬滅絕,徒留一片黑暗以避免再次逗弄所有澎湃激昂的情懷。但敘事者既然透露自身與謝朓的差異,那麼告誡大江(時間)「不要」撩撥的表述,乃至描寫宇宙緊緊扣住所有動力因子,讓一切衝刺冒險的本能、欲望無法繼續慫恿著自己,也反面點出敘事者之心至今未放棄對理想的忻慕嚮往,只是偶爾不免覺得「微微衰落」。但最後,流動的時間依舊讓詩人從動態中力圖振作,因此才有最後幾句「不讓我在黑暗裏嘆息」等字句。
詩中無數複雜、繳繞、分歧的種種,終究依違於「我」—時空交會瞬間的一點孤獨,可視為意識和描寫意識之語言相互交涉的結果。前不見古人,後不見來者的感懷此刻被無限放大,被身體、文字、聲音等符號協力展演。綜上所述,知識分子在亂世中應當如何作為,可能正是洞悉「客心」如何「變奏」的重要指標。當我們理解詩歌無非抵抗,是詩人周旋於時間、記憶的憑藉,也是在造化與現實間何以自我安頓的關鍵。因此,當流離,拋棄與剝奪生命中永恆的命題,豈容在陰影與黑暗的覆蓋中哭泣?由此可見楊牧希望透過時間表達的,更趨近如何穿越晦暗不安的歷史角落,以詩歌證明人文精神的躍動昂揚。
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美術設計:�江襄陵 -Nysus IG:https://www.instagram.com/nysus_/
攝影來源:Unsplash
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劍盾色違明雷 在 劉明昆的創作世界 Facebook 的精選貼文
ASAKU® X Dragon Life
Part.1
この本の全13章。
アサク伝X真龍の魂
原作: 劉明昆
訳者:ZiON
あらすじ
神説年暦36772年
『神説大陸』の地表にある『人間界』『妖精界』『幻獣界』に、緑色の『鏡返ノ核』が出現し始める。毎回の出現場所が不定、中から核を守るための小さな魔物が同時に現れる。出現して24時間後赤色に変化し、半径一キロあたりにて『逆時震盪』でエネルギーを放つ。その力によって時間が過去へN年分に巻き戻し、そしてより強い魔物と、核を守護する『鏡返核獣(ミラーコア獣)』が召喚される。一つの『鏡返ノ核』に一回しか『逆時震盪』が発動しない、が、コアが出現するだけで周囲にいる動物や魔物の狂暴化を引き起こす。
『鏡返ノ核』の出現頻度が約3~7日、現在、コアを破壊する方法が見つかっていない。
『逆時震盪』が発生すれば、半径一キロの範囲内で過去へN年分のタイムリープが起こり、有機物でも無機物でも時間がN年分巻き戻される影響を受ける。例をあげるとつまり、「その場にいる人間はそのN年分若返る」という、実際の存在時間がNより少ない場合は、存在ごと消えることになるが、その範囲から出ると元通りに戻る。単なる時間の巻き戻しではなく、コアを守る魔物も多く出現するのと、そのN年前に存在していた者も一緒に現れるが、魂の持たない攻撃的なゾンビになってしまう。それでも、亡くなった人に会いたい人にとってはどうしても、期待を持ってしまうことでしょう。
魔物による破壊と、どれくらいの時間が巻き戻されるかは予測不能なため、誰も予兆が出る時に影響範囲内にとどまらない。『逆時震盪』が起きれば、逃げるしかない。
神説大陸に存在する種族の中で唯一、『逆時震盪』に影響されないのは精霊族だ。そして、『鏡返ノ核』は精霊界にだけ出現しないと言われている。理由こそ不明だが、『逆時震盪』に影響されない絶対的な防御力を持つ精霊でも、コアを破壊する能力がなく、魔物の出現を阻止するのには封印しか手段がない。
精霊聖王の命令により、『精霊界』光族の封印士・アサクとその仲間たちは、『鏡返ノ核』の出現場所を予測し、『逆時震盪』を測れる【不帰ノ羅針盤】を手に、“『逆時震盪』による危害と大量に出現する魔物の原因・『鏡返ノ核』を封印すべく”と、世界へと旅立つ。
第一章:封印士アサク(Action Chapter)
神説年暦36722年 8月12日 月曜日 午後三時
人間界の『フィル王城』の西南方向にある小さな村『エデンの村』では、『鏡返ノ核』の出現によって、村人たちを撤退させるべく、フィル王城から発遣された軍隊が、人々を守るため魔物と戦う。コアが赤色に変化し始め、残り時間30分あたりで、『逆時震盪』による大量の魔物に備えるため、軍隊が戦線を下げて村の外に包囲網を張ろうとしたその時、布陣の手前に急に『折畳ノ廻廊』が現れ、中から青い服に白マント、【聖印短劍】を持つ魔法使いらしき若い男と、その隣にピエロのようなぬいぐるみと、羽をもつ獅子、そしてかわいらしい女の子が一緒に出てきて、そのまま村へ向かっていく。慌てて止めようとする兵士に、男がこういう。
アサク「俺は精霊聖王のご命令により『鏡返ノ核』を封印すべくここにきた精霊光族の封印士、名はアサクだ。あんたたちみたいな役に立たない小物は早くどっかに逃げるんだな」
兵士 「な、この無礼もの!」
となりに立っている女の子がアサクにストレートを一発かまして、礼儀正しくこう言った。
イリヤ「精霊土族の猛獣使い・イリヤと申します。兄のご無礼をお詫びいたします。こちらの軍隊をお率いになっている将軍様はどなたでしょうか」
この時、将軍らしき男が布陣から出てきて、礼儀正しく挨拶をする。
スタール「精霊界からのお力添え、感謝いたします。俺はフィル王国軍団団長・スタールと申します。どうかコアを封印し、危害をお治めくださいませ」
イリヤ「村にはもう全員撤退しましたでしょうか」
スタール「ええ、全員撤退させました」
アサク「よし、なら安心して暴れるんだな!」
そう言って、ピエロのようなぬいぐるみと羽をもつ魔獅子を連れて村へ駆け込んで、魔物を戦うためにコアへと前進する。
イリヤ「イリアは魔獣の狂暴化について調査するために来ましたの。コアの影響で普段おとなしいものでもとても攻撃的になってしまいますので、どうかお気を付けてください」
イリヤはスタール団長へ一礼してからアサクに続けて村へと入った。
大量の魔物が襲い掛かる。アサクは【聖印短劍】で迎え撃つ。【聖印短劍】に切られた魔物はすべて封印術によって身動きを取れず、そしてその属性の力を短剣の中へ吸い込んで蓄えることができる。ほかの物に触れても同じ効果で、例えば石なら土属性の力を吸い込むことができる。
アサクが魔法を発動するのには、左手に正三星陣、右手に逆三星陣を放ち、吸収した属性の力を手の魔法陣に付与すれば、陣魔法で攻撃できる。敵が複数の場合は逆三星陣で拡散式の魔法を、一点攻撃する場合は正三星陣で集中式の魔法を発する。だが陣魔法の威力は、吸収した属性の力強さで決められる。
イリヤは【愛のムチ】で戦う。このムチに叩かれると、悪の魔獣は浄化され、正常の魔獣ならおとなしくなって攻撃してこなくなる、イリヤの友達になって一緒に戦ってくれることも。
コアに近づければ近づくほど敵が強くなり、アサクが一気にコア近づけることを決めて、【聖印短劍】をしめて、ピエロのようなぬいぐるみへ叫ぶ。
アサク「来い、ゴーストカード! 【日輪ノ剣】へ幻化してくれ!」
ピエロのぬいぐるみが【日輪ノ剣】へと変身し、剣身から太陽のような輝きを放つ。アサクがこの神剣を振りかざし魔物を迎え撃つが、日の光に当たらないところに入ってしまう途端に、剣の輝きが弱まり、力を失っていく。この時に剣からゴーストカードの声が発した。
ゴーストカード「だめです! 光のないところだと【日輪ノ剣】は力を失ってしまいます! もうすぐ日が落ちます。早く片付けないと!」
アサク「わかってる! すぐ片付けるよ」
アサクが魔獅子の背に飛び乗り、コアへ駆け込む。もうすぐ赤くなるコアを前にして、突然、どこか赤子の鳴き声が聞こえた。声を辿ってみると、コアのすぐ近くにある民家の隅っこに隠れている、赤子を抱えている若い女を見つける。
アサク「やばっ! 間に合わない!」
そう言って、アサクが若い女を、イリヤが赤子を抱き上げて、すぐ村の外へ出ようとしたが、時はすでに遅く、『逆時震盪』が起きてしまった!
強烈な震動波が拡散し、周りの景色も変化し始めて、女は塵となり消えていく。なのにまぜか、イリヤが抱えている赤子はなんの変化も起きなかった。驚きながらもイリヤは悲しく叫ぶ。
イリヤ「みな離れたって言ったのに! なんで!」
アサクが懐に入れてある【不帰ノ羅針盤】をみて、巻き戻された時間はちょうど80年。ゴーストカードがアサクに先にコアを処理しないと危害が広がると進言した。イリヤに赤子を守って村から離れるように指示するが、なぜか赤子が起きてからアサクにすっかりなついて、抱いてもらわないとすぐ泣き出す。仕方なく赤子をおんぶしてコアの封印に手掛けるアサクは、イリヤにお父さんって揶揄された。
アサク「あーもう、うるさい!」
赤子がその怒鳴りで泣き出してしまい、二人が同時に人差し指を口の前にかざして「しー」って言ったらまた静かになった。
アサク「コアを守護する魔王が出てきたな、とどめをさしいこう。さっさと任務を終わらせて帰ろうぜ」
このコアの守護魔王が巨大な食人花で、毒をもつ粘液とつるで攻撃してくる。アサクは行風術を使って攻撃をかわしながら飛んでくるつるを切るが、なかなか近づけてとどめをさせないでいる。
奇妙なことに、赤子は戦いの真っ最中でもまったく暴れず泣かずに、すごく静かだった。
イリヤがさき手懐けた短足イノシシを乗って攻撃を試みるが、魔王が強すぎて逃げ回ることしかできない。
この時にもう日が落ちてすっかり夜になってしまった。
ゴーストカード「やばい! もう日の光が――」
そう叫んですぐ【日輪ノ剣】からもとのぬいぐるみの姿に戻ってしまった。アサクはやむを得ずに【聖印短劍】で迎撃する。
アサク「くそ! 【聖印短劍】じゃ効果がない。吸収した属性の力が弱すぎる、もっと大きな炎じゃないとこいつを燃やせない!」
そして魔獅子に向かって叫ぶ。
アサク「俺に炎の攻撃を三回してくれ!」
魔獅子は宙返りして距離を取り、アサクに向かって、口から巨大なファイヤーボールを吐き出す。
アサクは左手を高く上げて手のひらをかざし、正三角形の魔法陣が魔獅子が放たれたファイヤーボールを吸収した。高いところへ跳んで、すぐ食人花の口の前に駆け込み、左手が拳に握って後ろに引き力を蓄えると、三つのファイヤーボールが一つに集中!
そして手を前にかざし、拳を開けて魔法を放つ。
アサク「正三星陣魔法! 火炎竜巻!!」
猛烈な火炎が食人花を燃やし尽くした。アサクはすぐコアの前に行き、透明な水晶で作られた箱【聖獄ノ籠水晶】を持ち出して、表面に刻み込まれている呪文で封印術を発動する。封印を行う間は魔獣がまた襲い掛かるが、魔獅子が守ってくれたおかげでみな無事だった。
眩しい光が放たれ、結界が築かれた。コアを無事封印したが、周りの景色はもうもとには戻れない、80年前のままだった。
助かった赤子を村人に渡そうとしたが、みな”あいつは悪魔の子だ”と騒ぎだして、誰も引き取ろうとしない。それは、赤子の母親が倫理を反して、父親が誰なのかを明かさずにその子を産んだからだ。赤子はなぜかアサクから離れようとしないし、仕方なく連れて行くことにしたふたり。イリヤは手懐けた短足イノシシとお別れをしてから、【折畳ノ廻廊】を起動し、二人は精霊界へ戻った。
第二章:防ぎきれないこと
神説年暦36722年 8月13日 火曜日 午前十一時
精霊王城の会議室にて会談が行われている。参加するのは精霊聖王・オデロス、オーカ将軍、ハプ司祭、精霊の姫君・ジェフロ、アサク、イリヤ、そして人間界から連れてきた赤子だった。
アサクは片足で跪いて、精霊聖王・オデロスにエデンの村でのできことを報告し、その傍らにイリヤがゆりかごに眠っている赤子をみている。
アサク「ことは以上です。聖王様」
精霊聖王・オデロスがアサクに表を上げようといい、となりのオーカ将軍に見解を求める。すると、オーカ将軍の顔がすこし赤いのを気づき、叱るように言う。
オデロス「そなたたちまさか、昼間から酒を飲んだではあるまいな」
オーカ「そ、それはその、ハプ司祭が造った酒が良すぎて、目覚ましにちょうどいいからで……」
ハプ「オーカ、おぬし……せっかくよい酒を取っておいてやったのに」
聖王オデロスがお怒りの様子で少し咳払いをしたら、周りがしんとなってしまった。それから手を一振りして、ハプ司祭がすぐ注いておいた盃を聖王に渡す。一気に飲み干してまことにうまい!と言ってからまた真顔でアサクに続けようと合図をした。
ジェフロ(不機嫌)「父上までおふざけして!まだ公務が残っているのでは」
オデロス「大事ないよ、精霊界がいつものように平和でのんびりだ」
ジェフロ(手を腰にあてて、呆れる)「もう、少しは危機意識を持たないと!」
アサクが頭を掻いてから、片手を顔に覆いて呆れていう。
アサク(独り言みたいな)「この老いぼれたち、本当に『鏡返ノ核』のことを気にしているのか」
オーカ「我々精霊界はそもそも外界のことを干渉してはならん決まりだが、大賢者聖竜王様が、『逆時震盪』が精霊しか対抗できないからと天神界の神託だといい、聖王様にエデンの村のコアを処理するよう、おまえを指名してな」
アサク「またあの陰謀家の聖竜王?やつの言いなりにならなくだって」
オデロス「天神界のお達しだ、仕方ない」
アサク「くそ……」
このとき、ハプ司祭は赤子に近づき、よく観察する。
ハプ「ふむ、この人間の赤子、『逆時震盪』の影響を受けないとは、確かに不思議だ」
同時にイリアが赤子を包み込んでいる毛布を開けてみると、毛布に<ADAM(アダム)>が書いてあて、赤子の背中に、虹紋章のバースマークがみえた。それに驚いたか、聖王がすぐ近寄って赤子の背中を確認し、オーカ将軍も続いた。
オデロス(文字ごとはっきりと)「なんと……虹、聖者」
オーカ「ではこの赤子こそが新たな虹聖者か、名は……アダム」
ハプ「アサクがエデンの村へ出向くのも奴らの計画通りってわけか。一本取られたわい」
アサク「で、どうすればいいですか。この子ずっと俺にべったりで、起きて俺に抱っこされてないと気づくとすげー泣きわめくんですよ。いっとくけどベビーシスタはいやだからな」
オーカ「待った! アサク、前の二つのコアの出現場所、覚えてるか?」
アサク「一つは妖精界の『時間図書館』で、もう一つが人間界・フィル王国東南部の『フジルス砂漠』です。二箇所ともすでに『逆時震盪』が起きてしまったから、聖王様のご命令とおりに、まだ震盪が起きてないエデンの村へいきました。時間的にいけたはずだったけど、この子を助けたため結局封印が間に合いませんでしたが」
ハプ「人間界に出現した二つのコアとも、フィル王国の近くか、どうも匂うなぁ…」
オデロス「いかん! オーカ将軍、すぐ禁衛軍を集結し戦闘態勢に入りたまえ!」
聖王の指示で、オーカ将軍がすぐ会議室から飛び出し、警報を鳴らす。
アサク「どういうことですか??」
ジェフロ「早く赤子を守って」
イリアすぐまだ眠っているアダムを胸に抱きしめた。
ハプ「これは、とんだ企みだ! 『逆時震盪』を利用し、『時間図書館』で偽りの歴史を作り、『フジルス砂漠』にて過去に存在した『ミラージュレーク』を呼び戻した。そしてこの子はやつの手駒…震盪の影響をうけないとわかっててあそこに置いた。おぬしがこの子を連れて【折畳ノ廻廊】で精霊界に戻ることで、震盪の痕跡が残り、もともとコアが侵入不可能の精霊界に隙間が生じてしまったのだ」
まさにその時、急にとどろきのような音が響いて、精霊王城が地震でも起きたように揺らいだ。
ハプ「この子が起きて騒ぎだしたら見つかってしまう。わしが深い眠りにつくように術をかけとくよ。イリア、アダムは任せたぞ。アサクは早く敵襲に対応しろ!」
イリア「了解いたしました。ちゃんと守って見せます」
アサク「そこまで深刻ですか! すぐ向かいます! ゴーストカード、魔獅子、ついてこい!」
二人の従士を召喚して、三人はすぐ音がした場所へ急いだ。着いた時には精霊王城正殿の真上に時空の裂け目ぽっかり空いてしまい、すでに大量の魔物が湧き出している!手前にオーカ将軍が禁衛軍を率いて応戦してるところだった。
アサク「なんてことだ!」
アサクはすぐゴーストカードに【日輪ノ剣】に変身させ、魔獅子とともに戦いに加わった。聖王オデロスもジェフロを連れて正殿に到着。二人の周りには禁衛軍が守りを固めている。同時に、九尾妖狐が時空の裂け目から正殿へと降りってくる。
九尾妖狐「あらまあ…ふふ、美しきあたしをこんなにも大勢で出迎えてくれたのかい、うれしいねぇ、さあ、情熱的な歓声をあげなさい」
アサク「この変態野郎!」
その時、全域空間防御を担う精霊兵士より報告が届いた。
精霊兵士「報告! 聖王様、精霊聖地にて『鏡返ノ核』が出現!」
聖王オデロスがすぐ聖地を守るようにオーカ将軍に指示し、正殿の魔物が聖地に行けないようにと一部の禁衛軍兵士を残し、後をアサクに任せて、その場を立とうとしたが……
ジェフロ「わたくしは残ってアサクに協力するわ!」
オデロス「だめだ! すぐオーカ将軍に続いて聖地へ向かいたまえ」
聖王オデロスがオーカ将軍、ジェフロとイリアを率いて正殿後方にある廊下を通り、精霊聖地へ向かう。
正殿に現れた魔物たちがアサクと近衛軍に着々と退治されていくが、なぜか九尾妖狐がまるで見世物を見ているようにびくとも動かないまま、やがて魔物が彼だけとなった。
九尾妖狐(高笑いして)「スポットライトはあたしだけを照らすものよ。どう? スーパースターみたく輝いているでしょ」
そう言って突然と手を上げ、強い衝撃波を放つ。
精霊禁衛軍を守ろうと、アサクはすぐみなを庇うように最前列に出て、全身から聖光を放ち、【獅幻神裝】を纏って九尾妖狐の攻撃を受け流した。
左従者のゴーストカードが変身した【日輪ノ剣】を手にかまい、右従者の魔獅子が変身した【獅幻神裝】を纏った姿こそ、アサクの完全なる武装なのだ。
アサク(禁衛軍に向かって)「おんたたちはもう聖地に向かってくれ、ここは俺に任せろ!」
禁衛軍兵士「了解しました!」
返事した禁衛軍の兵士たちはすぐさま聖地へと駆け付ける。
九尾妖狐「あたしは、鏡界から降臨した陰魔六将軍、名は九尾妖狐。親しくして~“九ちゃん”って呼んでもいいのよ。さすが天神界の力を得た者ね、アサク。神と精霊の融合体か、本~当、反則よね」
アサク「なんなんだおんたは! 九ちゃんとか、誰が呼ぶか! あいにくこっちは遊んでる暇ないんだな、今片付けてやる!」
九尾妖狐「さて、君ごときで、このあたしに勝てるかしら?うふふ……」
笑い声を発したと思えば、もうアサクの目の前に瞬間移動して、攻撃をかまってきた!
九尾妖狐の攻撃が思ったよりも重く、全身武装した状態のアサクでも、【日輪ノ剣】で攻撃を受け流しながら陣魔法で魔法攻撃を吸収して反撃をするが、どうも苦戦に陥ってしまう。幸い、【獅幻神裝】の防御でなんとか保つことができた。
素早く動きながら攻撃してくる九尾妖狐は余裕ありげに笑いかけてくる。
九尾妖狐「はははっ、神と融合したせいで、もともと持ってた精霊の力を失って、元素魔法が使えなくなったのね。それで受けたものを吸収して反撃に使うしかなくなったわけか。なるほど、これはこれは、神様って意地悪いねー、はははは」
アサク「なんでそこまで俺に詳しいんだよ!?」
九尾妖狐「それは~愛してるから♥だよ(ウィンク)」
アサク「気持ち悪っ!」
九本の尾が一斉に伸び、九尾妖狐がセクターなポーズを取ってこう言った。
九尾妖狐「さあ、あたしのすべての愛を乗せる、最強の一撃をうけてごらんなさい♥」
先と比べものにならないほどの莫大な魔力が九尾妖狐の体に集中していると感じたアサクは、この一撃で勝負がきまるとわかった。
アサク(テレパシーでゴーストカードと魔獅子に)「あれを使うしかない」
ゴーストカード(テレパシー)「マスター、本当に使いますか? まだ完全に使いこなせてないのに、発動した後力が抜けて、いつ回復できるか分からないのですよ!」
魔獅子(テレパシー)「でも確かにそうするしかなさそうです。自分ももう攻撃を受けきれません。まずはやつ倒すことを考えましょう。そのあとは自分たちがマスターを守ります」
心で会話をかわす僅かな間に、九尾妖狐はもう力を整えて、技をぶつけてくる!
九尾妖狐「九重狐撃・滅骸破!!」
まさに同時に、アサクは宙返りして背中から天使と精霊の翼が生えてきて、【七属性ノ鍵】がアサクを中心に飛び回り聖光を放ちながら、七本の巨剣となる。
アサク「俺にはまだ神の力がある! 七鍵衝殺陣!!」
互いの大技が宙にぶつけ合い、九尾妖狐が避けきれずに重傷を負い、間一髪で時空の裂け目を通って鏡界へ逃げ帰って、あまりの強力で精霊王城もほとんど壊滅してしまった。
ゴーストカードと魔獅子が変身を解いてもとの姿に戻り、アサクも技の影響で全身の力が抜けてしまって、意識はちゃんとしてるが、もうまったく動けない状態だ。魔獅子はアサクを背負ってゴーストカードとともに精霊聖地へ向かう。
これで、数万年以来一度も侵入を許したことがないと誇る精霊界も、正式に破られてしまったのだ。
精霊聖地に着くとそこに『鏡返ノ核』が中央の祭壇に現れていて、聖王オデロスが部下たちを率いて湧き出している魔物たちと戦っている姿がみえたが、すでに力が残されていないアサクには何もできない。
アサク「どうしてハプ司祭が、早くコアを封印しないんだ?」
第三章:永凍絶界
神説年暦36722年 8月13日 火曜日 午後二時
精霊界で最も重要な場所『精霊聖地』に、『鏡返ノ核』が出現、ハプ司祭がコアの近くにいながら、魔物ばかりかまっていてコアを封印しようとしない様子。
魔獅子がアサクをハプ司祭のとなりまで連れいった。
アサク(虚弱)「どうしてすぐコアを封印しないんですか。【聖獄ノ籠水晶】をくれたのはあなたなのに……」
ハプ司祭「【聖獄ノ籠水晶】は聖竜王が天神界から持ってきたもの、おぬししか使えないといいおった。だから、コアを封印する任務をおぬしに与えたのだよ」
アサク(虚弱)「そんな……俺はもう、【聖獄ノ籠水晶】を発動する力も残されてない。まさか『逆時震盪』で精霊聖地が破壊されるのをただ見るしかできないというんですか」
ハプ司祭「とにかく休んで、少しでも回復に努めるのじゃ」
この時、イリアが泣きながらこちらに走ってきた。
イリア「うう……黒マントの男にアダムを奪い去らわれてしまいました。イリアでは全然太刀打ちできなかったの。ごめんなさい、イリアのせいだわ、どうしよう……」
アサク「あなたは悪くねえよ、もう泣くな」
ハプ司祭「精霊界に来てアダムを奪うことも、やつの計画の一環なんじゃろうな」
オーカ将軍が精霊禁衛軍を率いて攻撃の陣を組んでコア周辺にいる魔物たちに反撃を繰り返し、聖王オデロスがコアの真上に雷撃の術をかけてコアを打ち砕こうとするが、まったくの徒労だった。
この時に、強い黒き光が聖地の高台から放て時空の裂け目を作り、その中から黒竜に乗っている騎士の姿が現れた。彼は響き渡る声でいう。
フィリップス「俺様は陰魔二将軍、フィリップスだ。鏡界を代表し、正式に精霊界に宣戦布告を告げる!」
このフィリップスと名乗った黒竜を乗る騎士から放たれる特殊な魔力に、ただならぬ恐怖を感じたかのように、周りの魔物たちがみな身動きがとれなくなっている。
アサク・オーカ「これは! 失踪した風族の精霊・サルの霊力!?」
アサク「どうしてあいつから精霊の力を感じるんだ!」
オーカ「いや、正しくは風属性の精霊の力と闇属性の魔力が混ざり合っている強大の力だ! この精霊界では相手になれる人いないかもしれん」
オデロス「……」
フィリップス将軍が手を振ると、黒竜から強い竜巻が襲ってくる。精霊禁衛軍軍団の大半が竜巻の勢いに耐えきれず吹き飛ばされ、何人か苦労して防御術を立ち上げて対抗しようにもあまり効果が見られない中、なぜかジェフロにだけまったく影響がなく、すこしもダメージを受けていない。その様子をみて、聖王オデロスはすぐみなに指示をだす。
オデロス「ジェフロ姫の後ろに隠れろ!」
精霊軍団が群れとなってジェフロの後ろにくっついて、ジェフロが移動すると軍団も続いてくという、なんとまあ奇妙な絵面になった。
ジェフロ「どうして私の後ろに隠れるのよ。私はあのフィリップス将軍というやからを懲らしめにいきたいの!」
そういって奔ろうとするけど、姫が動いてしまうとみな吹き飛ばされるからと、周りに止められる。
ジェフロにだけ起きるこの現象に気づき、フィリップス将軍が急に激動した様子でジェフロに駆けてくる。みながジェフロをかばおうとする時に、まさかの攻撃ではなく、フィリップス将軍がジェフロを抱き込んで強引にキスした。その場にいる全員が目の前に起きたことに驚いていると、軍団に襲い掛かる竜巻もフィリップス将軍のこの行動でやんだのだ。
ジェフロが我に返って顔を真っ赤にし、怒りと恥ずかしさが混ざり合い、フィリップス将軍を突き出して、ぱっとビンタを食らわせた。
ジェフロ「この……不届き者! この私に無理やりキ、キスするなど! 何様のつもり!」
赤くなる頬に手を当て、ガッカリした様子でフィリップス将軍はいう。
フィリップス「君は…忘れたのか……」
そしてすぐ近寄った黒竜に乗り、高く飛んで離れた。
遠くに離れていくフィリップスの後ろ姿を見て、ジェフロはなぜか、胸が悶々と締め付けられる気がした。指で先強引に奪われた唇を撫でてみると、涙が勝手に流れてくる。
ジェフロ(心の声)「この悲しい感情はいったい……?」
フィリップス将軍が精霊軍団の表に戻り、大声で言い放つ
フィリップス「精霊界の最強のものを出してこい!」
すると、オーカ将軍が陣から高く上へ跳んで、マウントであるグリフォンを召喚して背中に乗り、フィリップス将軍と対峙する形になる。
オーカ「俺はオーカ将軍じゃ。精霊界最強の守護者が相手してやる」
フィリップス「ほう、この時をずっと待っていたぞ。やっとオーカ将軍とやり合う機会がきたか」
オーカ「一つ、疑問に答えてもらおうか」
フィリップス「ふんっ、二つとも答えてやるよ。一つ、そう、俺様そこが、かつて失踪した風族の精霊・サル。二つは……お前らが知ってるサル、もともと二人いたのだ。一人が精霊界に、一人が鏡界にいる。だが、俺様の本当の名は、フィリップスだ」
すでに弱っているアサクをちらっと目をやり、フィリップスは続いてこういった。
フィリップス「そのアサクと同じ、”ダブルフェース”をもっている」
オーカ「なんだと!」
アサク(心)「”ダブルフェース”……ってなんだ?」
この時、ゴーストカードがフィリップス将軍が身につける剣をみて、慌ててアサクに話しかける。
ゴーストカード「大変です。あの人、【月輪ノ剣】を持っています!」
アサク「そんな、まさか」
ゴーストカード「僕のセンサに間違いはありません。なぜなら僕と【月輪ノ剣】は、セットのゴーストカードだからです!でも、なぜあの人が【月輪ノ剣】を持っているんでしょうか」
フィリップス「国としての挨拶はここまでにしょう。そろそろ戦いを始めようか、まずは……」
フィリップス将軍が指を鳴らすと、精霊聖地に現れたコアが急に色が変わって、『逆時震盪』を引き起こす状態になった!アサクを含めて精霊族の全員が、自分の目を疑わずにいられない!
アサク「あいつ! 『逆時震盪』を加速させやがった!!! 早くコアを封印しなきゃ!」
でも依然と体力がもどらないままのアサクは、魔獅子の背中から降りる気力もない。
アサク(魔獅子に)「コアに触れるように、近づけてくれ」
魔獅子は指示に従ってコアのすぐそばまで近づけて、ゴーストカードがアサクの右手を支えて、コアに触れた。触れた瞬間に、コアの色の変化が明らかに遅くなったものの、アサクが冷や汗をかいてひどく苦しい表情をしている。
ハプ「よせ、アサク。それでは封印は無理じゃ、ただの時間稼ぎにしかならんし、そのままだとおぬしが力尽きでしんじまう!」
アサク「ただの時間稼ぎでもいい、もう、今の俺にはこれしか…」
するとイリアが自分の手をアサクの手に重ねた。
イリア「イリアも、お兄さんと一緒に精霊界を守ります!」
アサク(頭を少し下に向いて)「ああ」
オーカ将軍がグリフォンに乗ってフィリップス将軍へ突撃をかける。二つの世界での最強戦力を持つ男たちの対決は激しく繰り広げられて、交わる攻撃の震動波で近くにいる魔物も、一騎打ちを見守る精霊軍団も痺れさせられて、ただその場に動けずにいた。
長い戦いとともに時間が過ぎ去り、アサクもそろそろ限界を迎えてしまう。
フィリップス(オデロスに向かって)「精霊聖王よ、一つ教えてやろうか。この【鏡返ノ核】に設定されたタイムリープの時間は、ちょうど1000精霊年前だよ(人間界約41年)! そう、その精霊八大族の時代に!」
フィリップス将軍の言葉で、精霊族のみなが一気に顔が青ざめた。
オーカ「好き勝手にはさせん。混沌極まりないの1000精霊年前などに戻ってしまったら、今の世界線の神説大陸の全面的壊滅を招いてしまう!」
オーカ将軍が奥手の” 圓気裂衝砲”を発動しようと同時に、まさかのフィリップス将軍も、同じ大技をかけて決着をつけようとした。
オーカ「ほう、おまえは確か、俺のまなでしの精霊界のサルだな!」
が、それを聞いたフィリップス将軍はただ微笑んで、答えようとしなかった。
二つの技がぶつけ合うと同時に、アサクとイリアの力ももうコアを抑えることができなくなり、コアが鮮やかな赤色を放ち、『逆時震盪』はまさに引き起こされようとしていた時に。
オデロス「精霊界の王として、精霊界をいまここに壊滅させるわけにはいかん。すべての空族精霊よ、集結し伝送陣を発動せよ!」
空族精霊たちがすぐさま伝送魔法を発動する。
オデロス(オーカ将軍とハプ司祭に向かって)「精霊界を守りたまえ!」
オーカ将軍とハプ司祭はすぐ聖王オデロスのもとに駆け付けた。
ハプ(アサクに向かって)「いけ! できるだけ遠くへ逃げるのじゃ!」
聖王オデロスが手のひらに特殊のトーテムをかけると、トーテムが一匹の鷹となり、地中に向かって飛び潜った。そしてオーカ将軍とハプ司祭に頷きで合図をして……精霊界最大な封印術を発動する。
オデロス・オーカ・ハプ「永凍絕界!!」
『逆時震盪』が始まる頃に、空族の伝送魔法も発動した。
フィリップス「くそ! 精霊界ごと時間を凍結しようだと! 俺様はこんなところに閉じ込められたりはしない!」
そういってすぐ時空の裂け目を開けたが、ジェフロを一目みてから裂け目に入って姿を消した。
『逆時震盪』は永凍絕界によって止められてが、同時に伝送陣も停止してしまい、すべての精霊を伝送することはなく、アサクは幸運にも、伝送で逃げることができた。その瞬間に、ハプ司祭の声が聞こえた。
ハプ「精霊界を救うのには、精霊女王アランダを見つけるしかない。頼んだぞ、アサク」
アサクは涙が止まらないまま、伝送通路に入り、そのまま気絶した。
この戦いの末、精霊界の時間は止まったままになり、誰も入ることができず、そして、誰も出られなくなってしまったのだ。
第四章:人魚之淚
神説年暦36722年 8月19日 月曜日 午前十時
目覚めたアサクが初めに聞こえたのが、ゴーストカード、魔獅子とイリアの三人の声だった。
ゴーストカード、魔獅子、イリア「よかった!」
ゴーストカード「マスター! やっとお目覚めですか!」
イリア「もうーお兄さん! 二度と目覚めないかと心配したんだから!」
アサク「俺は……大丈夫だ。ここどこだ?」
ゴーストカード「僕たちは幻獣界の人魚国に伝送されたのです。女王様がこのお部屋を手配してくださいました!まさか一週間も眠り続けるとはな」
周りを見渡してみたら、さんさんと輝く日の光が水を通して照らしてるとても暖かい部屋だが、どう見ても女性の部屋だ。
ゴーストカード「人魚国には女性しかいませんからね」
アサク「ええ……」
アサクの身の周りにたくさんの花が飾っている。
アサク「で、この花はいったい……」
ゴーストカード(肩を軽くすくめてニヤっと)「マスターのファンたちから送られてきたものです。もう人魚国丸ごと虜にしちゃってるくらい大騒ぎですよ。お見舞いといって花を何度も持ってくる子もいます。なにせ女王様が自ら『美しき眠りの精霊王子』という異名をつけちゃうくらいですからね……」
魔獅子が顔をそらして笑いをこらえている。
そのとき、外から雑踏とした人の声がしてきた。ゴーストカードが、もう起きたってバレたら大変な目に合うから、早く寝たふりをするようにとアサクに合図し、ぬいぐるみのふりをした。アサクが横になって寝たふりをすると、やはり十何人の人魚の女の子がプレゼントと花をもって部屋に入ろうとする。魔獅子がすぐ姿をけして入口を塞ごうとしたが意味がなく、女の子たちが部屋に駆け込んできて、祝福を込めてアサクの頬にキスして、わいわいとはしゃいでからやっと部屋をでた。
皆出た後、アサクは起き上がり、キスされた頬を少し撫で顔を赤くして、満足しそうに笑った。それをみて、隣のイリアは不機嫌そうに口を尖らせた。
ゴーストカード(アサクの頭に一発殴って)「しっかりしなさい!」
アサク「俺見世物じゃねえし。早くここを出て情報を探そう」
イリア「お兄さん今や『美しき眠りの精霊王子』ですから、そのまま外にでると騒ぎになっちゃいます。イリアが変装して差し上げますわ」
人魚国は結界によっと海の中に沈んでいる王国で、結界の中なら、地上と同じように呼吸ができるところ。
この日、大通りに変な歩き方をする一人の人魚(?)の女性(?)がいた。そう、それはまさに、髪型を変えて化粧もし、方にピエロのぬいぐるみを乗せたメイド服姿のアサクだ。その隣に人魚に成りすましたイリアと、術で姿を消した魔獅子。
アサク「なんで俺が女装しなくちゃならねえんだよ! 不格好だし、下スースーするし!」
イリア(笑いながら)「パンツを履かないからでしょう」
アサク「女のパンツなんてぜってー嫌だ!」
ゴーストカード「こうでもしないと、街中で正体ばれたら、何千何万の人魚の女の子が寄せてきますよ」
魔獅子「さすがにそんな大勢は止められませんな」
アサク「ここ一体どうなってんだよ。空気もすごく濁ってる気するし、風もない、なんか変な感じ」
ゴーストカード「人魚国は昔からとても排外的で、特に同じ幻獣界の百獣国とは敵対関係です。僕も魔獅子も百獣国の民なので、気付かれないようにしないといけません。人魚国は精霊界との関係がとても良いと聞きます。それで、こちらに伝送されたかもしれません」
二人が会話している間に、イリアがすれ違った天使魚と交流し始める。
アサク「魚と話してんの?」
イリア「イリアはすべての生き物と意識疎通ができるのです。かわいい子をみたんら友達になりたくなるんですよ。」
アサク「俺はゴーストカードと魔獅子としか話せねえから」
この時、向かいに何人のメイドを連れて歩く貴婦人らしきの女性がアサクをしげしげと観察する。今にもバレたかとはらはらする二人だが……貴婦人はイリアを眼中にない様子でアサクに話しかける。
貴婦人「あら、ちょっと胸が足りないけど、なかなかじゃないの~あなた、名は何という?どちらの使いなの?」
アサク「お、おそれいります。あ、アクリアといいます。えっと、マダムメールに仕えております」
貴婦人「なんと! あなたのような美人が、あのメールに仕えてるなんて、もったいないわ!」
貴婦人すぐ懐からパールを十個取り出してアサクに渡してこういう。
貴婦人「はい、持って、これは前金よ。すぐあのばばあのところを出て。明日からヴィタリス公爵邸に来なさい」
勝手に言い終わると、パールを手にしてポカンとした顔のアサクたちをお構いなしに、メイドたちを連れてその場を去っていった。
アサク「おっぱい足りないとか……」
イリア「アクリアって……ははははは~女装でもお気に入りされちゃって、すごいですわお兄さん!しかも、デタラメに言ったのに、まさか本当にマダムメールがいるなんて、はははは」
となりにいる魔獅子がもう笑いすぎて腰がぬけそうだ。
アサク「笑う場合か! 大事な任務があるんだぞ! コアがどうなってるわかんないし、ハプ司祭が精霊女王を見つけて精霊界を救えと俺に言ったんだ。メイドごっこしてられるかつうの!」
ちょうどおなかが鳴ったから、近くのレストランが見えて、とりあえず腹ごしらえをしようと店に入った。イリアが天使魚とバイバイして、アサクと一緒に一番目立たない隅っこの席に座ると、メニューに目を通す。
アサク(メシューを見て)「ワンセットでパール一つ!?」
ゴーストカード(すぐアサクの口をふさぐ)「しー、大声出さないでください。嫌なら女王様が用意してくださった部屋にお戻りになれば?なんでも使い放題ですよ」
アサク(プルプルと)「ぜってーやだ。(ちょっと恥ずかしく)まあ女の子にモテるのは悪い気しないけど…」
イリア(一発殴って)「お兄さんのスケベ!」
店員「お決まりですか」
アサク「セットを四つくれ」
店員「お二人でそんなに? 本当にたべられますか?」
アサク「大丈夫。食べられるよ」
店員「かしこまりました。ではパール四つ、いただきました。すぐご用意いたしますね」
食事が運ばれたら、アサクは飲み込むようにパクパクと食べて、ゴーストカードと魔獅子はテーブルの一角にコッソリと食べた。
アサク「俺たちはやく人魚国から出るべきだと思う。百獣国へ行って俺の友人のブラッド国王に助けをもとめよう」
魔獅子「そうはいっても、人魚国では【折畳ノ廻廊】の使用を禁止してるから伝送は無理です。地上の百獣国へ行くのには連結通路を通らなければならないが、もちろん警備がつけてるから、人魚女王の許しがないと通してもらえないんじゃ…」
イリア「それに、何の挨拶もなしに消えるなんて、失礼極まりないことですわ。ここはやはり一度女王様にお礼を申し上げに謁見をした方がいいとイリアは思います。」
ゴーストカード「人魚国と精霊界とは交流がありますが、わざわざ『美しき眠りの精霊王子』なんてマスターの存在を宣伝することに、なにか良からぬ意図を感じます。」
アサク「でもなぁ、戻らないとすると、金を稼がなきゃだな……」
イリア(笑いながら)「お兄さんにメイドになって、イリアたちを養っていただくしかほかありませんね」
ゴーストカード・魔獅子「そうですね」
アサク「なんで俺ばっかりー」
楽しい会話の中で、誰もすでに人魚兵士に囲まれたことに気づかなかった。
人魚兵士「精霊界からきた高貴なる友よ、ご相談があるので王城へと、女王陛下直々のお誘いでございます。」
アサク「あ、見つかっちゃったか」
人魚国王城へ移動する途中でも、熱心のファンたちが道の両サイドを囲んでアサクに“精霊王子さま、愛してる”なんて歓声を上げていた。
夜の人魚国王城にて、案内された正殿では、人魚女王が王座に座っていて、アサクたちの到着を待っていた。二人は一礼する。
アサク「女王陛下、精霊界のアサクと申します。貴国に来たのはその、事故によることでして、どうかお許しください」
ミカナ「わたくしが人魚国女王・ミカナと申す。付き人の二人も、姿を現すがよい」
ゴーストカードと魔獅子は一斉に術を解いて現し、女王に跪いて挨拶を。
ゴーストカード・魔獅子「ご無礼をお許しください」
ミカナ「よい。状況はわかっている。皆のもの、もう去るがよい」
そして正殿には、アサクたちと女王だけが残っている。
ミカナ「わたくしに着いてまいれ」
女王がアサクたちを宮殿にあるガーデンの一角へ連れてきた。
ミカナ「静かに見ておれ、そして何があっても、アサク、わたくしに合わせておくれ」
どういう意味かさっぱりだが、アサクは了承した。
この時、ガーデンに若い女性が歩き出て、上から真っ白な髪をした精霊らしき男が、女性の前に舞い降りてきた。二人は愛情深くに見つめ合い、男が貝殻とクリスタルで飾った花束を取り出して、女性に話しかける。
白髪の男「人魚姫・ユリア、どうか、俺と結婚してくれ」
ユリア(首を振りながら)「フルフィ様、ごめんなさい。婚約はお母さまにお許しを請わなければ、お約束できませんの」
白髪の男(手を引き)「ならば駆け落ちだ!」
ユリア(もう一度首を強くふる)「私もあなた様をお慕い申し上げておりますが、そのようなことは許されませんわ」
フルフィが強引にユリアを連れて行こうとすると、ミカナ女王が影から出た。
ミカナ「この無礼者、娘からその手を離し、今すぐ立ち去れ!」
フルフィ「女王だからって俺が怖気づくとでも思うのか。本気で暴れたら、この人魚国では俺に勝てるやつなんかいないぞ」
ミカナ「さぞ傲慢とみえる。まあ確かに、わが人魚国は、強いおのこを国王にし国を守ってもらう必要があるが」
フルフィ「はは、それって俺たちの婚約を認めるってことだろう?」
ミカナ「国王は実力と美しさを備える随一のおのこでしかなれぬ」
フルフィ「それはそれは、お褒めに預かり光栄だ、女王陛下」
ミカナ「否、その資格があるのは、そなただけではない。最近王国にいらっしゃった『美しき眠りの精霊王子』が、そなたより容貌が優れて、国民に愛されているのだ」
そう言って、アサクが隠れている物陰に指をさした。
アサクは仕方なく出てきて、どうにもかたくるしい感じで言う。
アサク「俺こそ、真の国王になれる精霊王子だ。貴様、俺をみてさっさと恥じ入って消えるといい」
フルフィ「ならばやってみようじゃないか、誰が勝つか定かではないぞ。な?精霊族のアサク」
アサク「! なんで俺を知ってる??」
フルフィ「……」
ミカナ(一度手を叩く)「もうよい、口喧嘩はおよし。女王たるもの、公正公平でなくてはな。ならば、正式に試合を行うことにしよう。勝つほうが、ユリアの夫となり国王になる。」
アサク「なんだって!?」
フルフィ「のった! いつだ?」
ミカナ「三日後、人魚国のコロシアムにて。」
ユリア「お母さま! なぜそのような勝手な約束を……あんまりです!」
悲しむユリアは泣きながら走っていった。
フルフィ「首洗って待ってろ」
そして飛び立って夜の空に消えた。
アサク・ゴーストカード・魔獅子「はめられた……」
女王は静かに頷いて微笑みをみせた。
正殿に戻ると、アサクがトンと床に座り、とても不機嫌な様子だ。
ミカナ「すまなかった。がしかし、それも無礼を承知で仕方なくしたことなのだ。なにせ、人魚国にはもはや幻獣であるあやつを止めるのに十分な力を持たぬからのお」
アサク「幻獣?フルフィのことですか、女王陛下」
ミカナ「いかにも。あやつが幻獣界百獣国『幻化部族』狐の一族のもの。人魚の民は決して百獣国のものと結ばれてはならぬのだ」
魔獅子「今の幻獣界では三大国が均衡の敵対状態にあります。ゴーストカードと自分も、囚われてないだけでも幸いってくらいです」
アサク「でも、人魚国って軍備がそこまで弱まってますか。それに二人が愛し合ってるのなら、別に硬く掟を守らなくても」
女王が立ち上がり、王笏で王座の真上を指すと、天井が突然崩れて、その奥にあるのは……
アサク「鏡返ノ核!? しかももう真っ赤で……すでに震盪が発生した!」
すぐ【不帰ノ羅針盤】を取り出して、巻き戻された時間を測るが、なんの変化も見られない!つまり、人魚国が『逆時震盪』の影響を受けなかったことになるが、ありえない。一体どういうことだろうと、アサクは驚きを隠せない。
その時、大量の魔物がコアから湧き出して、みなすぐ戦闘態勢に入る。その中の一匹が女王に襲い掛かる。
イリア「陛下! 危ない!」
驚くことに、魔物が女王の体を触れることなく、そのまま通ったのだ。
ミカナ「心配ない。精霊アサクよ、この鏡返ノ核を封印してもらえぬか」
アサク「わかりました!」
仲間の援護でコアに近づけて、【聖獄ノ籠】で封印を成功すると、呪縛から解き放ったように、今まで人魚国を覆う濁った空気が一気に晴れた。
再び王座に座り、女王はことの真相を語り始める。
ミカナ「コアが出現したのが半年前のこと。我が人魚国軍隊の総出でも、魔物の軍勢には太刀打ちできなかった。そして、『逆時震盪』が起きたのだ」
アサク「ではなぜ時間の変化が測れなかったのですか?」
ミカナ「それは巻き戻された時間の長さが130年がゆえ。130年前、人魚国はこの深い海の底ではなく、ちょうどここから真上の島にあった。海に沈んだのが30年ほど前のこと」
ゴーストカード「てことは、震盪のせいで130年前の人魚国が今再びそこで現れたってことですか」
ミカナ「そうじゃ」
アサク「じゃ震盪の後…ここは……」
ミカナ「消し去られてしまったよ、なにもかも。今そなたたちが見るすべてが思念体だ。それでも、我々は今もこのように、ここにおる。」
左耳に飾ってる雫の形をした耳飾りを取り、女王は続けた。
ミカナ「これは人魚国の国宝・【人魚ノ涙】というもの。『逆時震盪』の際に引き起こされた全国民の恐怖と悲しみが、【人魚ノ涙】の力を発動させた。」
アサク(悲しむ)「今目の前の女王陛下も、ここにきてから見た人魚たちもみな……【人魚ノ涙】の力によって保存された魂ですね……」
イリアがもうこえずに泣き出している。
ミカナ「心優しき精霊、アサクよ。わたくしは、ユリアとフルフィの愛を、婚約を認めぬわけではない、できぬのだ。そうさせてしまったら、ユリアも民もみな、国が滅んだこと、自分がもうこの世にいないことを思い出してしまう。どうかこの秘密を、守っておくれ」
二人は涙を流しながら頷いた。
ミカナ「芝居でもよい。フルフィを破り、ユリアと結婚し新たなる国王になって、民に希望を与えてやっておくれ。そしたら【人魚ノ涙】も役目を遂げ、人魚国は幸せ満ちる中で消える。これがわたくしの最後の願い、手伝ってくれるかい」
アサクは黙ったまま頷き、イリアが王城に響き渡るくらい大泣きをした……
三日後。
人魚国のコロシアムは人で賑わっている。ほぼ全国の人がここに集まって、人魚の姫君の夫を決める試合を楽しみに待っているのだ。
用意を済ましたアサクはゆっくりと、会場へ続く廊下を通り、コロシアムに入る。
第五章:幸せの微笑み
神説年暦36722年 8月22日 木曜日 午前十時
ほぼ全国の人が集まったコロシアムでは、熱烈な歓声が上がっている。今日の試合で、ユリア姫の夫となる、新たなる国王が決まるのだ。みなの期待の中で、試合が始まった。
アサクとフルフィはリングの中央に立っている。すでに対峙する二人だが、表情から気持ちの差がうかがえる。今にも暴れ出しそうに興奮しているフルフィに比べて、アサクはどこか悲しみを漂う感じだ。アサクが女王に一目をやると、女王が軽く頷いた。その左には泣き止まないユリア姫に、右がイリアが座っている。
法螺貝を吹き鳴らす音がコロシアムに響き渡り、試合開始!
フルフィが手にエネルギーで形成された槍で襲い掛かり、アサクはゴーストカードと魔獅子の力で武装状態で構える。【日輪ノ剣】と【光ノ槍】がぶつかり合い、火花を放つ。一進一退の攻防戦はどちらも譲らない気合だ。この時、フルフィが“光剣魔法”で攻め寄せてきて、驚いたアサクはすぐ左手のシールドで防御した。
アサク「! 見間違いじゃねえよな、あれは俺の光剣魔法だよね?」
魔獅子「はい、確かに、光剣魔法です」
フルフィ「あれ、おかしいな。アサク、お前魔法が得意じゃなかったっけ?なんで剣ばっかり使うんだ?魔法はどうした?」
アサク「う……」
ゴーストカード「マスター! このフルフィ、なぜか懐かしい気がします。きっと僕たちが知ってるものです。」
フルフィ「面白くなってきたな。んじゃ、遠慮なくいくぜ!」
手のひらからどんどん光剣魔法を打ち、同時にアサクに向かって突進して【光ノ槍】を突き刺す!
アサクは右手に持つ【日輪ノ剣】で【光ノ槍】を受け止め、左手に正三星陣魔法を自分に向かってきた光剣を吸収しようとしたが、三発までしか容量がなく、やはり何発はくらってしまった。そして体を捻り三星陣魔法“極光聖破”を出した!この攻撃を予想できなかったフルフィは間一髪でこの攻撃を避けたが、余裕を与えずに続いて【日輪ノ剣】を振って出された“陽輝閃撃”の挟み撃ちについに負傷、慌ててアサクとの距離を引き離した。
フルフィ「やるじゃないか、でも光属性の魔法攻撃は、同じ属性の俺には効果が出ないぞ。吸収での反撃だけじゃ、俺を倒せない!」
そういって、真っ白な長い髪を持つ精霊の少年の姿が歪み、巨大な白いキツネと変身した!そして周りに同じく白いコギツネが何匹も一緒に現れた。
アサク「うっ、俺キツネ苦手なんだけど……」
コロシアムに悲鳴があちこちから聞こえてくる。人魚国の人たちが逃げ回り、愛する人が異形のものに変貌したのを目の当たりにしたユリアは恐怖で戸惑っていると、これそこがフルフィの真の姿だと女王に告げられ、騙されたと思わず涙がこぼれる。
巨大な体と尾を駆使して攻撃してくるフルフィ。魔法による攻めも止まらず “星雲貫通銃”を出した時、アサクはゴーストカードと魔獅子を離して、両手同時に正三星と逆三星陣魔法を発動し、フルフィが放つすべての光の矢を吸収した。
空中に高く飛んで、両手の手のひらを合わせて、左には正三星の陣、右には逆三星の陣、天地印結!両手の陣魔法が一つになり、光の六星陣魔法を放つ!!
アサク「霸・極光殺陣!!」
全方位からの光剣がフルフィに襲い掛かった。同じ属性だと効果が弱まるが、無数の剣陣でフルフィがバランスを崩したそのすきに――
アサク「こい!【日輪ノ剣】!」
ゴーストカードが変身した【日輪ノ剣】を右手に握って、フルフィの頭の上に飛び乗り、剣のさきを脳天に打ち込みとする時、魔獅子が突然アサクを止めた。
アサク「魔獅子?」
ゴーストカードも変身を解けてアサクにやめるように願った。
アサク「なんで止めるんだ?」
ゴーストカード「フルフィが誰なのか、まだわからないのですか、マスター」
その時、力尽きたフルフィが倒れて、本当の姿――一匹の小さな白いキツネに戻った。
イリア「かわいいですわ!」
ユリア「その姿なら、いいかも……」
女王の睨みで二人はすぐ口をつむいだ。
フルフィ(アサクに跪いて)「強きものに従いしもべとなりて、われここに契約を結ぶことを誓う」
そしてフルフィの体が無数の光の粒子になり、アサクの手のひらに集中すると、ゆっくりと槍の形になった。
アサク「これは…【光ノ槍】だ! 俺が小さな頃に失くしたあの【光ノ槍】だ!」
【光ノ槍】を高く掲げて勝利のポーズをすると、コロシアムに喝采が沸いた。
ミカナ「これにて、アサクを我が国の新たなる国王、わが娘・ユリアの夫となる。さあ、みなのもの、祝言の用意じゃ」
夜、用意された部屋で休むアサクたち。
アサク「あの時、精霊界の『嘯きの谷』から人魚国に流されてたんだ。で、震盪の影響で【光ノ槍】の封印が解かれて幻獣の姿を取り戻したあなたは、ユリア姫に一目惚れして、精霊に成りすまし恋人になった。」
フルフィが黙って頷く。
イリア「だからユリア姫を連れだして、最後くらい幸せになってほしいと思ったのですね。」
フルフィ「……(泣き出す)」
アサクがフルフィの手を取って言う。
アサク「あした、一緒に人魚国を幸せにしよう」
アサクの言葉を聞いて、フルフィは我慢できずに大きく泣き出した。
イリア(フルフィを抱きあげる)「泣かないで、よしよし、フルフィ、イリアとお友達になりましょう」
翌日、盛大な婚礼が行われた。華やかなヴァージンロードを歩くアサクとユリア。傍らにいるイリアの笑顔が、なぜか少し引きつっていた。
女王自らアサクに栄光ノ指輪を付けて、新しい国王の誕生を告げる時、人々は楽しい歓声を上げながら、満面の笑みでありがとうと言い、一人また一人、ゆっくりと消えた。女王がアサクの手を、ユリアがフルフィの手を握りしめ、微笑んで感激を伝えると、耳に飾っている【人魚ノ涙】がひび割れ、二人もゆっくりと姿が消えてゆく。完全に消える前に、女王がアサクにこう言った。
ミカナ「130年前のあの人魚島へ行くがよい。王座に隠してある【人魚ノ涙】を探したまえ。それは幻獣界三大神器の一つ、必ず探し出し、わたくしに届けておくれ」
アサク「届けるって、どうやって??」
女王に聞こうにももう完全に消えて、人魚国にはもう生気が少しも感じなくなって、結界が消滅するとともに、海水が入ってきた。
アサク「ヤバい! 城が水没しちまう! とりあえず地上に逃げよう!」
ゴーストカード「結界が消えたから【折畳ノ廻廊】もう使えるはずです!」
イリアがすぐ【折畳ノ廻廊】を使い、みなを伝送した。
神説年暦36722年 8月24日 土曜日 午後三時
震盪によって再び出現した130年前の人魚島に到着したアサクたち。コアがもう封印されたので、大して強い魔物がいないし、雑魚を片付けていくと、王座の下に【人魚ノ涙】を無事見つけることができた。
アサクは【人魚ノ涙】をペンダントにして、フルフィにつけた。彼はペンダントを握りしめて涙をこらえながら誓う。
フルフィ「……今度こそ、必ずユリアを守って見せるよ」
指に付けられてる栄光ノ指輪をみて、アサクが呟く。
アサク「俺、結婚しちゃったんだな」
イリア(心)「本当に結婚したわけではないのに、なぜかお兄さんが取られた気がします。イリアが落ち込む理由なんか、ないはずのに、この気持ちは……?」
イリア(涙目でアサクに抱きつく)「イリアはずっとお兄さんと一緒にいます。イリアを一人にしないで」
アサク「? どうした? 大事な妹を置き去りにするはずねえだろう。よしよし」
イリア「イリア、お兄さんが大好きです。お兄さんのお嫁さんになるのはイリアだけですよ!」
アサク「え?」
一瞬、沈黙の時間が流れた。
話を変えようとゴーストカードが言う。
ゴーストカード「これからどうします? マスター」
アサク「俺がエデンの村に向かう前に、すでに妖精界の時間図書館で『逆時震盪』が起きていた。そして、今回の人魚国、正直ショックだよ……妖精界の現状が気になる。だから妖精界へ行こう、もしかしたら時間図書館でなにか新しい手がかりが見つけるかも」
一同「うん!」
【折畳ノ廻廊】を開いた。アサク、イリア、ゴーストカード・ウダ、魔獅子・サモエドに新たに加えた幻狐・フルフェ、一行が次なる目的地・妖精界へ向かう。
第六章:矛盾たる真義宝典
神説年暦36722年 8月28日 水曜日 午後七時
アサクたちが妖精界に到着するものの、妖精の森に迷い込み、どうしても妖精王国にたどり着けない。
アサク「妖精界の結界って厄介だな、まるで迷宮みてぇだ。どう歩いても出れねえし、【折畳ノ廻廊】で直接伝送もできない。これじゃいつまでたっても時間図書館にたどり着けねえぞ……」
新しくできた友達のガガ鳥を肩に乗せて、イリアも疲れた顔でいう。
イリア「もう歩けません……少し休憩しましょうよ、お兄さん」
フルフィ「腹減ったー」
アサク「しかたない、キノコを採ろう」
フルフィ「ええ~来てからずっとそれじゃん……」
その時、おいしい匂いがどこから漂ってきた。たどってみると、池の近くに美味しそうな鍋が出来上がっている。
アサク「いい匂いだ!」
フルフィ(マイ食器を取り出して)「準備万端! 食べよう」
アサク「持ち歩いてんのそれ」
フルフィ「みなの分もあるぞ~」
ゴーストカード「盗み食いはよくありません……」
イリア「ひ、一口だけなら、大丈夫ですよね、本当にいい匂い……」
魔獅子は何も言わないが、腹の虫は誠実だ。
おいしい匂いの誘惑に負けて、みなにして “おいしい、アツアツ”と言いながら食べ始めて間もなく、一人の巨漢の怒鳴り声が響く。
巨漢「こら! 盗み食いめ!」
が、アサクと目が合う瞬間――
アサク「カーバン!」
カーバン「アサク!」
二人は古き友と久々再会した嬉しさに抱き合った。そしてゴーストカードと魔獅子にも。
カーバン「まさかまた精霊の守り神たちに会えるなんてな。会いたかったぞ!」
イリアも嬉しくてカーバンに抱きついた。
イリア「これ、カーバンさんが作った野原スープだったんですね!通りでおいしいわけですわ~」
アサク「無事でよかったよ~カーバン」
カーバン「俺先月に火族製錬師の修業を遂げるための素材集めをしに、精霊界から幻獣界に行ったんだ。帰ろうとしたら精霊界が丸々消えた感じでなぜか帰れなくて、連絡しようにも手段がないから、妖精界で何かわかるかもって思って。そんで今食いしん坊のお前らと会ったわけだ。な、精霊界に一体何があったんだ?」
アサク「……カーバン、落ち着いて聞いてくれ」
そしてことの顛末の説明を聞いたカーバンが、力が抜けたように座り込んで、またすぐ起き上がってアサクの胸元を強くつかむ。
カーバン「じゃあみんなは? 他の精霊たちは今どうなってる??」
アサクはカーバンの手が離すようにつかんで、俯いてゆっくり口を開く。
アサク「無事脱出した人がどれくらいいるかわからない。今のところ、俺たちが会えたのは、あなただけだ……」
カーバン「……くそ!」
悲憤に満ちたカーバンの拳は、一発で軽々しく森の木々を殴り折った。
ゴーストカード「カーバンさん、どうしたら妖精王国に入れるかわかりますか?」
カーバン「知ってる。でももう日が暮れた。妖精王国を覆う結界が夜になると無限ループの迷宮になる。王国へ続く道は昼でしか現れないから、日が昇るのを待つしかない」
イリア「本当に迷宮だったんですね。お兄さんが方向音痴だからとばかり思いました」
フルフィ「待つしかねえんだろ?明日のためにも今は腹ごしらえして休もう」
アサク「そうするしかないようだ」
魔獅子「みなさんは休憩を。夜番は自分に任せてください」
カーバン「そういえば、この白いキツネって誰だ?」
アサク「幻獣になった【光ノ槍】だよ」
カーバン「ええ~~、ちょっとアサク、お前、まだ何か隠してねえか?」
アサク「横になりな、ゆっくり話すよ」
神説年暦36722年 8月29日 木曜日 午前八時
朝、アサクとカーバンははっきりと目の下にくまがついてる。一晩中人魚国の出来事をしつこく聞いて、二人とも一睡もしなかったのだ。
ゴーストカード「お二人さん、一晩中ずっと話し込んでてうるさかったですぞ」
魔獅子「同意」
アサク「しつこく聞いてくるカーバンが悪いんだぞ」
カーバン「だってさ、まさかアサクが結婚するとはな、人魚国の国王にまで……それに、あんなのあんまりだよ……」
アサク(軽く肩を叩く)「丸一夜感傷に浸っててもういいだろ? はやく妖精の村に連れていってくれ」
荷物をまとめて、カーバンに続いて森に入り、しばらくして、一つの吊り橋に着いた。
カーバン「この先が妖精の村だ」
村に入ると、そこにはもうひどい光景になっている。
妖精界の東北方向、つまり時間図書館が位置する方には、険しい炎が燃え上がっていて、どうやら魔物が出てこれないように囲んでいるらしい。城下町あたりが戦闘の跡がみられるが、幸い損害が大きくないようだ。
村の妖精たちはみな疲れた様子で、その中に怪我人もいる。アサクをみると、すぐ慌てて知らせに人を出した。
村の妖精「早く女王陛下にお知らせを! 精霊界のアサク様が来てくださったぞ!」
一人若い妖精が駆けてきてアサクに話かける。
若い妖精「アサク様、待ってました! 早く王城にお越しください。女王陛下がお待ちです」
アサクたちが妖精王城に案内され、妖精女王・ルナミアに謁見することになった。
途中に見る正殿がひどく損傷であちこちボロボロになっていて、妖精女王もひどい怪我を負い、寝室に寝込んでいる。寝台のすぐそばまで案内されると、女王に付き添う侍女の一人が、カーバンに飛び込んで泣き出した。
カーバン「俺たちが来たからにはもう大丈夫だ、サナ、心配するな」
アサクとイリアはもう一人の侍女の傍に。
イリア「サヤお姉さん、大丈夫ですか。」
アサク「事情を説明してくれ」
サヤ「二ヶ月ほど前、時間図書館の中央ホールに見たことないコアが現れ、たくさんの魔物が出てきて……女王陛下がすぐ兵を向かわせたんだけど、翌日に急に強烈な震波が起きて、図書館一帯の景色が変わったし、そこにいたはずの人々もみなどこかに消えて……それからすごくでかい岩石巨獣が図書館の外壁に登り出ると、まるでそれが合図みたいに、魔物が外に拡散して周りを攻撃し始めたんです。村がもちろん、王城も免れなくて、最後に女王陛下が古代神器【火竜ノ斧】を異変の境界線に刺して炎ノ結界を張ってやっと、魔物を閉じ込めることができました」
サナ「境界線を越えた魔物を辛うじて退治したけど、それで女王陛下に怪我を負わせてしまいました……守り切れなかった私たちが悪いんです……私……」
そう言ってサナまた泣き出す。
アサク「今すぐ時間図書館に向かって魔物を消してくるよ。でもあなたたちはついてくるな。逆時震盪の影響を受けないのは精霊である俺たちだけだから」
その時、妖精女王が目を覚ました。侍女の二人はすぐ女王の傍にいって、起き上がるをの支えた。
ルナミア「精霊界での出来事はもう、夢を通してすべて知った。これは巨大なる陰謀である。敵が時間図書館を狙った理由は歴史を歪ませること。おそらく図書館で巻き戻された時間の記録は消えてしまったのだろう。どうかそこにある【真義宝典】を探し出して、わらわに届けてほしい。まだ修復できるやもしれぬ」
サヤが一つの水晶玉を取り出してイリアに渡した。
サヤ「この水晶は君たちがいるところの様子を映してくれます。これで【真義宝典】を探すのを手伝います。」
イリア「水晶でこんなことができるなんて、すごいですわ」
アサク「一刻も争う事態だ、出発しよう」
サナ「ご案内いたします」
神説年暦36722年 8月29日 木曜日 午後十二時
みなは【火竜ノ斧】を刺したところまできた。
サナ「一緒に入れないから、私はここまでです。どうかお気を付けて」
カーバンが【火竜ノ斧】に向かって言う。
カーバン「カイネ、お前まだやれるか?」
が、【火竜ノ斧】からなんの返答もない。
カーバン「どうやら炎の結界に集中してるらしい。邪魔しないでおこう」
アサク「でも、どうやって入るんだ?」
カーバン「俺は火の精霊だぞ、任せろ。 (両手を前に掲げて)陣防術・赤焔ノ壁」
カーバンがそう唱えると、火で構成された壁が結界の炎をかき分けて、時間図書館まで道が現れた。
【不帰ノ羅針盤】で測ってみると、なんと、1500年もの年月が巻き戻されたのだ。
アサク「1500年も? なんでそんなに昔にまで……とりあえず今は、中にあるコアを封印して魔物を消すのが先だ。いくぞ!」
火の道を通り、無事にホールまで着いたが、やはりそう簡単にはいかず、図書館の外壁にいた岩石巨獣が、魔物をつれてコアを守りにまた戻ってきた。
ふと気づくとイリアの隣が三尾猿になっている。
アサク「友達変えるの早すぎだろ」
イリア「ガガ鳥は火が苦手なんです。だから三尾猿に付き合ってもらうことにしましたの」
アサク「逆時震盪した空間に入って無事でいられるのは俺たち精霊だけなんだろ。なんで三尾猿を連れてこれたんだ?」
三尾猿がなぜかイリアと同じ淡いピンクの光を発している。
ゴーストカード「僕と魔獅子がこの空間に入れたのは、マスターとの主従関係でマスターの精霊の力で守られているからです。今三尾猿もイリアさんと主従関係になったから、同じように守られていますよ」
イリア(三尾猿を抱いて)「怖がらなくてもいいですよ。イリアお姉さんが守ってあげますわ。一緒に冒険しましょう」
アサク「あっそ。早いとこ用事を済ませようか。イリア、あなたはカーバンと水晶玉を持って【真義宝典】を探してくれ、戦闘中に壊れたりしたら大変だ」
カーバン「おう。イリアちゃんを俺が守る。任せろ」
そして魔獅子を召喚して魔装に変身させて防御を整えるが、ゴーストカードが【日輪ノ剣】に変身できない。
ゴーストカード「図書館の中では日の光が弱すぎて変身できません。このままフォローにまわります」
フルフィ「じゃ俺が!」
そういって【光ノ槍】に変身。槍を手に持つアサクは一振りして嬉しそうに言う。
アサク「この感覚、懐かしいぜ! 一緒に戦うのも久しぶりだな。星雲貫通銃!」
すぐ技を出して岩石巨獣と戦い始めた。
一方、イリアは水晶玉を通し、サヤの誘導を頼ってカーバンと一緒に【真義宝典】を探す。邪魔する魔物を、カーバンは図書館の土属性を利用して“陣防術・石屑爆撃”で打ちのめし、やっと宝典にたどり着けたが。なんと、コアの出現場所が、宝典の真上だ。
カーバン(叫び)「アサク! 宝典を見つけたぞ! コアもここだ!」
三尾猿が隙を見て宝典を取り出して、イリアに渡した。襲い掛かる魔物はカーバンが相手している。
岩石巨獣との戦いがどうもうまくいかない。防御が硬すぎて、傷一つまともに与えられないでいるアサク。
アサク「かたっ!これじゃ倒せそうにないぞ」
フルフィ(半泣き)「いたたた! 壊れる! 俺壊れちまうよ~~」
岩石巨獣の強力な一撃で、アサクとゴーストカードがぶっ飛ばされた。
魔獅子「マスター、申し訳ございません。もう…」
言い終わらないまま、魔獅子の変身が解けてしまい、地に転んで、傷だらけになっている。
アサク「倒せないなら策を変えよう。動けないようにして、先にコアを封印すれば、こいつも消えるだろ!」
フルフィ・ゴーストカード「どうやって??」
ゴーストカード「あっ! (フルフィをみる)光をください!」
フルフィ「! なるほど! その手があったか!!」
ゴーストカードが【光ノ槍】からの強い聖光を浴びて変身し、融合して【天斬のエクスカリバー】となった。【天斬のエクスカリバー】で岩石巨獣を射ぬいて壁に釘付けた。
魔獅子に乗ってコアのところに駆け付けて、【聖獄ノ籠】で封印すると、魔物が一斉に消えた。やっと一件落着と放心して、みんな力尽きで地に倒れた。
妖精王城に戻り、宝典を女王に渡すと、女王は妖精界の生き残った記録士を集めて、過去1500年分の歴史を再び宝典に書き込んだ。が、そこに一つ重大な矛盾を、女王は気づいて、すぐアサクたちを呼んだ。
ルナミア「この世のあらゆる命・物・出来事を記録している【真義宝典】は、間違いはないし、不足もあってはならない。だが……」
アサク「どうしましたか?」
ルナミア「……そなたに関する記述が、一切ないのだ。つまりはアサク、そなたがこの世に存在しないことになる!」
まるでこの言葉を合図のように一瞬周りの空間が歪みだして、それが消えた時には、人々の顔色が何やら違うように見えた。
サヤ「あなた誰ですか! 勝手に踏み入れるなど許されませんよ!」
サナ「侵入者がいます! はやく女王陛下をお守りください!」
ルナミア「この無礼者、わらわの寝室とわかっての所業か」
アサク(慌ててカーバンに)「俺のことわかる??」
カーバン「もちろん」
アサク「イリアは?」
イリア「大好きなお兄さんを忘れるわけありませんよ」
アサク(魔獅子・ゴーストカード・フルフィに)「あんたたちは??」
魔獅子「覚えてます」
ゴーストカード「覚えていますよ」
フルフィ「覚えてるぞ」
アサク「じゃあ、いったい何が……」
女王を守るべく妖精の禁衛軍が駆け付けて叫び出す。
妖精兵士「侵入者を捉えろ!」
カーバン(サナに向けて)「俺のことわかるかい?」
サナ「? カーバンさんでしょう? あなたとイリアちゃんがいてくれたおかげで、コアの魔物を退治できましたわ」
カーバン「どうなってる? そうじゃないんだ、こいつが俺の仲間のアサクだぞ??」
ゴーストカード「とりあえず逃げましょう、マスター」
奇妙な状況で仕方なくカーバンとイリアをその場に残して、魔獅子がアサク、ゴーストカードとフルフィを乗せて窓から寝室から逃げ出した。魔獅子の背に乗って逃亡するアサクは、複雑な気持ちで遠く眺める。
アサク「それじゃ俺は、誰だ?」
to be continued~
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亞太政治哲學文化出版社
【〈蔡英文總統罪己書〉全文一萬四千字一次刊完】
〈蔡英文總統罪己書〉
──在自由台灣國運轉捩點上再奮起
(寫於就職總統週年之際;袁紅冰自主代撰)
【〈蔡英文總統罪己書〉全文一萬四千字一次刊完】
〈蔡英文總統罪己書〉
──在自由台灣國運轉捩點上再奮起
(寫於就職總統周年之際;袁紅冰自主代撰)
一、罪己之意若何
斗轉星移,天河濤湧;白雲蒼狗,轉瞬一年。
一年之前,背負人民的希望、歷史的重託,我步入公權力的聖殿,同時也走上自由台灣命運的轉捩點。
此次我榮膺台灣總統,具有遠超一般觀念上的執政黨輪替的意義。台灣人民用選票表述明確的意志──拒絕國民黨恐共媚共、投共賣台的國策,摒棄馬英九黨國體制回潮和殘害民生的執政方向;在對國民黨和馬英九的否定中,蘊涵著人民對於國家正常化的期待與苦戀。
自由與尊嚴意味著存在的基本價值;對於人格或者國格都是如此。當代台灣,人民已經贏得自由,卻仍然沒有獲得應有的國格尊嚴──這是自由台灣的國恥。
中共極權主義的全球擴張開為人類「大爭之世」的潘多拉魔盒;自由台灣宿命地被推上「大爭之世」的風口浪尖,避無可避。
台灣再次站到國運的轉捩點上,而前途只有兩種高於生死的抉擇:或者溺於中共極權主義擴張的狂濤惡浪,台灣人民淪為中共統治下的「行政特區」的政治奴隸;或者克服一切必須克服的艱難,付出一切必須付出的代價,戰勝命運挑戰,贏得國格尊嚴,昇華為自由而壯麗的正常國家。
國格尊嚴缺失,是台灣人刻骨銘心之痛;成為正常國家是台灣人血淚豐盈的祈願。台灣人的刻骨銘心之痛燦若雲霞,常在我胸懷;台灣人血淚豐盈的祈願如天頂之風,日夜縈繞我心間。
然而,就職總統一年來,國事紛亂如麻,改革踉蹌蹣跚,經濟提振乏力,人心動盪不安,國家意志晦暗不明──不如意之事十有八九。
諛媚權力是人性最醜陋的弱點之一。因此之故,儘管執政不力,仍有人為我歌功頌德。與之同時,某些堅守投共賣台國賊意志的國民黨政客,也多方攻訐,惡毒詛咒,企圖逼我承認「九二共識」,背叛自由台灣事實獨立的主權。
不過,諂媚阿諛之人的歌功頌德,不能讓我喪失自知之明;國民黨政客的攻訐詛咒,也難撼動我忠誠於自由台灣的鐵石之心半分。
愚昧與怯懦者,遇事總喜諉過於人;大智慧者則常自責以正己。人世間最英勇之舉,莫過於正視自己的錯咎。我願效大智大勇者,作罪己之書,以謝國人。
我罪己之意,絕不在於認錯買憐,沽清流之名,釣開明之譽;我之意只在青雲之間──願罪己之書能感動天心民意,以積累精神能量,引領自由台灣再次奮起,直上時代峰巔,成為壯麗的正常國家,一舉雪洗四百年來台灣國格蒙受的重重恥辱。
二、罪己以正基本國策
為國事操碎鐵石之心──此乃一身繫國運安危的政治家的宿命。自就職總統以來,「吾日三省吾身」,無時無刻不惕厲治國之誤。值此執政一周年之際,我願將罪己反思基本國策失誤之結論,告白天下。
當代,台灣人民在經濟、國防、外交等領域承受的每一分艱難,都肇因於中共強權在全球範圍內對自由台灣的重重圍困;甚至台灣社會意識形態的分裂和族群對立,也是中共強權對投共賣台的「黨國餘孽」支持、鼓勵、縱容的結果。
當代國際政治範圍內,只有一個強權把否定台灣人民決定自己命運和台灣前途的權利,視為其政治原則;只有一個強權日思夜想,欲使台灣「香港化」,進而剝奪台灣自由民主的生活方式;也只有一個強權把摧毀自由台灣事實獨立的主權,奉為其「國家核心利益」。
這個強權便是共產黨極權專制的中國──在中共所謂「兩岸一家親」的假笑中,藏著一柄謀殺自由台灣國格的利刃。
事實已經讓一個鐵鑄的結論呈現在時代的視野中:
中共強權的國家意志是自由台灣避無可避的國家危機之源。
然而,台灣朝野,鮮有人敢於面對上述揭示這種迫在眉睫的「嚴峻國家危機」的結論。
碌碌政客、學者、名嘴,一涉此事,便或者欲仿鴕鳥,埋首於沙,聽而不聞,視而不見;或者語焉不詳,言不及義,作隔靴搔癢之談,蜻蜓點水之論。
之所以如此,主要原因當然在於「黨國餘孽」以回光返照式的亢奮散布恐共媚共意識──這個政治破落戶族群已經把充當中共強權的鷹犬喉舌視為生命歸宿。
但是,毋庸諱言,四百年屈辱的殖民地奴性心理後遺症也是原因之一。不敢與強權作自由人的直視,總試圖猥瑣怯懦地迴避命運的挑戰──這正是殖民地奴性人格後遺症的經典表述。
鑒於中共動用全部國家能量,在世界範圍內對自由台灣實施經濟、政治、軍事、外交圍困,以救亡圖存、應對國家危機為基點的兩岸政策,應當成為自由台灣執政者的基本國策。
基本國策不立,則國運不行。那種「先注重內政、經濟,後處理兩岸關係」的論述,不過是沒有勇氣面對嚴峻國家危機的虛矯弄巧之辭,掩耳盜鈴之說。
我大謬矣,思之痛徹心脾!痛定思痛,我的誤國之錯,千頭萬緒,千絲萬縷,總體歸結為基本國策之誤,即以「維持現狀」為執政之要,立國之基。
審視台灣海峽兩岸雙方的情勢,「維持現狀」的政治意志都意味著基本國策之誤。
台灣的政治現狀處於尖銳的矛盾狀態。
一方面台灣已基本確立民主的政治生活方式,另一方面根據現行憲法的荒謬要求,兩千三百萬台灣人民必須仍然對東亞大陸上十五億中共的政治奴隸承擔主權責任──儘管這種荒謬源自早已成灰的歷史,但是,卻仍然以謊言憲法的現實權威,剝奪台灣人民活在政治真實中的權利;在謊言憲法的歷史陰影下,台灣不可能成為受到國際社會尊重的正常國家──以謊言為憲法原則,意味著國家的恥辱。
同時,台灣被譽為世界上最自由的國家之一,可是,飄蕩在自由之島上的國旗和國歌,卻是黨國一體、威權專制的國格象徵;這種威權專制時期國格的象徵羈絆之下,台灣就相當程度上仍然活在歷史廢墟中,無法真正擁抱自由和未來。
以上台灣現狀的尖銳矛盾,是一根刺入台灣國運眼球的荊刺,不拔除這根荊刺,不改變這種歷史強加給台灣的現狀,台灣就不可能昇華為真理之國;抱殘守缺、「維持現狀」的國策所維護的,恰是威權專制遺留的謊言憲法和黨國一體的國格象徵。這將使台灣故步自封於過去,並失去未來,最終只能在荒謬的現實中沉淪。
反觀海峽對岸,中共強權謀台戰略黑雲壓城,文攻武嚇,咄咄逼人;口蜜腹劍,陰險詭詐──中共強權欲盡快改變自由台灣主權事實獨立現狀的虎狼之意如火如荼,從未有過「維持現狀」的菩薩心腸。
馬英九執政時期,國共兩黨用子虛烏有的「九二共識」,撐起「兩岸一家親」的和平假象;假象之下,中共強權謀台戰略鼙鼓不息,以至於台灣維護事實獨立國格的政治經濟能量日夜流失,怵目驚心,鬼神不寧,「兩岸現狀」因此依照中共強權的意志不斷改變。
在中共強權亟欲改變兩岸現狀的政治意志背景下,我以「維持現狀」為基本國策,只能是一廂情願的單相思,只能是罔顧事實的癡人說夢,必定落個刻舟求劍、誤國欺世的結果──
現狀不僅無法維持,而且很可能向有利於中共強權,不利於自由台灣的趨向轉變。
三、「維持現狀」的基本國策宣告失敗
我確立「維持現狀」國策的初心,在於委屈以求苟全,在於用善意和微笑感動中共強權,緩解其謀台戰略的咄咄逼人之勢,從而為台灣的生存贏得盡可能長的戰略喘息期。
為實現初心,依據「維持現狀」的國策,我宣布《中華民國憲法》和《兩岸人民關係條例》是處理兩岸關係的根本依據。有直言者因此指斥我實行的是「沒有九二共識的九二共識」,甚至稱我為「猶抱琵琶半遮面版的馬英九,向中共強權賣笑乞憐」──為委曲求台灣之全,我已經將自己的聲譽糟蹋至無以復加的程度。
就職總統之初,我即「盈盈翠袖」,捧出一片真情,以向海峽對岸;笑靨蕩漾,善意如春花爛漫,以對中共強權。然而,事實證明,中共強權冥頑不靈,蠻橫霸道,既不相信善意,也不會被真情感動;強權者的頑石之心只渴望將其專制意志強加於自由台灣──
中共強權欲逼迫我步恐共媚共的馬英九之後塵,公開承認國共兩黨滅絕台灣國格的「九二共識」,簽下台灣主權的賣身契。
宣示遵從充斥歷史荒謬的中華民國謊言憲法,已使我對於自由台灣的政治忠誠受到質疑;屈服於中共強權的意志,公開承認「九二共識」,則將意味著對自由台灣的背叛。
我可死,此等蒙羞千古、遺臭萬年之事,我絕不為。
中共強權為此暴怒如狂。因「習寬衣」而艷名鵲起的中共領袖習近平威脅曰,無「九二共識」兩岸關係將「山搖地動」;中共嘴炮將軍王洪光,逞口舌之利,聲稱「數小時便可滅台」。危言聳聽之際,中共強權又祭出「窮台戰略」,欲逼迫台灣人為乞食而屈膝出賣國格。不久前,更有所謂「謙謙君子」張志軍,陡現惡奴凶相,放狂妄之言曰:「台獨盡頭是統一」──此一言道盡中共強權亟欲改變自由台灣主權事實獨立之兩岸現狀的蛇蠍之心,虎狼之意。
我之委曲求全的初心原本真實如紅焰,於今無奈已化作一江秋水,浮黃葉殘菊蕭索西逝;我之盈盈善意只落得萬木搖落,淒風苦雨一片。面對如此情勢,「維持現狀」的國策已成「夢中情人」,水中花月,冢中枯骨,可思可念而不可即。
如若繼續以抱殘守缺之心,不肯承認失敗,則只能自欺欺人,遺天下之笑。我不願自欺,更不願欺世,故告白國人:「維持現狀」之國策已敗。
四、「維持現狀」基本國策之十大惡果
設「維持現狀」國策之本意,試圖在大爭之世中使台灣得生存之道,在中共強權的覬覦之下為台灣求苟安之機。然而,事與願違;「維持現狀」國策實施一年,未見其利,反遭其害。現在,我願忍刮骨療毒之苦,披肝瀝膽,痛陳「維持現狀」國策十大惡果,以為執政之教訓。
抱殘守缺、委曲求全,以得苟安──此乃「維持現狀」的思想基點。
將如此懦弱的思想奉為國策的意志根據,台灣國運自不會有「長風破浪,以濟蒼海」的磅礡之勢,浩蕩之氣;亦不可能有「氣吞萬里如虎」的進取之志。
「維持現狀」的國策注定台灣只能在軟弱中逐漸衰敗,而無法成為任何人不敢輕侮的堅強之國。
懦弱的意志中沒有強者的基因;現實世界不相信軟弱,並只給強者的意志以尊敬。我欲用懦弱的善意換取中共強權的善意回報,結果必定是自取其辱。
總統自辱,遂令國格塗炭──此乃「維持現狀」國策之第一項惡果。
自由與尊嚴是立國的兩項根本價值。
台灣已經成為自由之國,但是,台灣的國格尊嚴卻仍然沒有受到國際社會應有的承認。所以,「國家正常化」乃是自由台灣必須追求的國家理想,必須守護的國家信念──「國家正常化」才能使自由台灣得到國格尊嚴。
「維持現狀」雖然有媚俗於市井庸人之效,卻同時意味著以基本國策的名義,放棄「國家正常化」的理想,使台灣淪為無理想之國。
個人喪失理想,便成行尸走肉。國家喪失理想,則國家方向不明,國家意志陰晦,執政理念混沌。於是乎,官心不思進取,只圖顢頇度日,安於苟活;民心無所依附,民意迷失於物性貪慾。由此一來,國運只能在庸俗的氛圍中腐朽──
國家理想之星隕落,無魂之國不知前途在何處;當前台灣社會種種亂象,根本上皆因喪失「國家正常化」理想而起。
以上所述,可謂「維持現狀」國策之第二項惡果。
一年以來,國際政治局勢發生極其有利於自由台灣的變化,真可謂天佑寶島,天賜良機。
然而,外交機構卻抱中華民國歷史之殘,守謊言憲法之缺,不敢以創造性思維和行動,展開雙臂,迎接天賜之機,在國際社會彰顯自由台灣的獨立國格,相反,竟像古代偷情的小寡婦,面對熱情洋溢的歷史機遇,扭捏作態,滿臉紅暈,欲語還休,欲迎還拒,只敢怯生生露出幾分曖昧不明之笑。
如此這般,最終只怕會冷了歷史機遇那顆「燃燒的心」。
與之同時,面對中共強權的外交圍困,外交部門陷於左支右絀、窮於應對的被動局面,既沒有展示出奮起反制的歷史主動性,更缺乏挽狂瀾於既倒的壯烈情懷。
這種情勢,直令壯烈之士氣沮,自由台灣國際形象蒙塵,也正是「維持現狀」國策第三項惡果的表述。
將國家危機的真相告訴人民,乃是執政者的首要天職。
然而,「維持現狀」國策的題中之義在於,以首鼠兩端、曖昧不明的「朦朧之美」,向中共強權顯示「不挑釁」的善意。因此之故,我不敢講出一個冷酷的真相,來警示台灣社會;這個真相就是,中共強權的謀台戰略,構成對自由台灣國運、國本、國格的唯一、且迫在眉睫的嚴峻威脅。
受「維持現狀」國策之禁錮,沒有向台灣社會發出國家危機的警告,此乃我之失職。
家庭主婦的失職,或只殃及一家;總統失職,禍必殃及國運。
正由於我不敢公開宣示中共謀台戰略造成兩岸關係殺氣沖天、危機四伏的真相,致使相當一部分國人至今仍然沉迷於中共「兩岸一家親」的口蜜腹劍之辭,不能幡然醒悟。
清醒認知當前之國家危機,乃是激起台灣人民同仇敵愾之情、衛護家國之心、救亡圖存之意的前提。面對嚴峻的國家危機,唯有台灣社會各階層形成「覆巢之下,安有完卵」的台灣命運共同體意識,才可能獲得制勝中共強權謀台戰略的國家意志能量。
然而,迄今為止,全面執政一年,基於現實的國家危機應當形成的「台灣共識」卻仍然沒有形成──這意味著危機中的危機。國家陷此困境,其罪在我;同時也是「維持現狀」國策的第四項惡果。
中共強權長期在國際社會間構築「經濟的柏林牆」,企圖困死自由台灣。這是當前台灣經濟艱難的根本外在原因。
二〇一六年,台灣人民用選票表明堅定的意志,即拒絕出賣國家主權以換取經濟利益,中共強權隨即實施「窮台戰略」,這是台灣經濟艱難的近期直接原因。
為應對此種源自政治因素的經濟艱難,需要國家行政團隊制訂有效的經濟政策,引領台灣經濟殺出命運重圍,再創經濟奇蹟,以證明自由台灣的蓬勃生機。
「小人喻以利,君子喻以義。」唯有璀燦的國家理想,才可能召喚有強烈國家責任感和創造歷史意志的才俊之士,加入行政團隊,共赴國難,共濟時艱。
然而,「維持現狀」國策否定國家正常化的理想,只肯定屬於庸人政客抱殘守缺的實用主義策略。
抱殘守缺的國策,自然只能召喚抱殘守缺的「老藍男」官員;以猥瑣的實用主義智慧為魂的國策,也必然只青眼有加於庸官俗吏。這正是我的行政團隊執政無能,引發民怨沸騰、民怨沖天的核心原因。
正由於「維持現狀」的猥瑣意志被奉為國策,才使得貪利戀權、虛矯媚上的官員逐臭而聚,蜂擁蟻附於總統權力的臥榻之旁;憂國憂民的志士為愛惜羽毛則遠避權力,有「洗耳」之政治道德潔癖的能員幹吏,則不屑於同庸官俗吏為伍而「遠避山林」。
「維持現狀」國策造成的「近小人,遠君子」效應之下,執政一年來,行政團隊行事昏聵拖沓,荒腔走板,致使「新南向政策」步履蹣跚,國家經濟方針或者盲人瞎馬,不辨方向,或者情急之下空發煌煌大言,欲以之欺世盜名,卻因缺少改革意志的底蘊而難於說服社會。
行政官員中,或老馬羸驢如李大維者流,似乎只癡迷於故步自封,混吃等死;或肥貓碩鼠一窩,假公權力以圖一己之利,以斂私家之財,如「財經幫」。
行政團隊毫無「天行健,君子自強不息」之意,更缺乏引領台灣經濟破重圍而縱橫全球的意志與能量──此「維持現狀」國策之第五項惡果。
台灣人民決定自己命運和台灣前途的權利,是主權者權利的皇冠;失去這項權利,台灣人民就失去一切。台灣和平進入民主社會,但是,威權專制時期的政治法律殘跡,仍然相當程度禁錮著台灣走向正常國家的意志。
民進黨全面執政,本應當通過修改「公投法」,一舉破除重重法律障礙,使人民得以通過公投的法治方式,決定自己的政治命運和台灣國家前途。
然而,在「維持現狀」國策的陰影下,加之諸多「精明」的鼠輩小政客和衰朽老智囊的影響,台灣人民獲得通過公投直接實現決定自己命運和台灣前途的權利竟使我心生恐懼,因此,對修改公投法作出投機政客式的限制。
我之所以產生此種畏懼之意的原因,全在於害怕人民通過公投推進國家正常化進程,從而「破壞現狀」,開罪中共強權。
為委屈求全於中共強權,以減少執政的壓力,竟然為修改公投法設置障礙,試圖假法律之名,繼續禁錮人民做為主權者決定國家前途和命運的權利──
此種悖逆天心民意之舉,背叛自由台灣基本價值之惡行,已經重創民進黨的政治聲譽,以至於社會輿論悲憤質疑,民進黨是否正在淪為維護黨國體制殘跡的「小國民黨」。
為討中共強權安心,竟壓抑台灣主權者的權利;為求中共強權逼迫下的苟安,竟背棄台灣人民心底裡對國格尊重的渴望,對國家正常化的熾烈情感,從而使民進黨黨魂黯然,黨格蒙受難以雪洗之恥──此誠我之罪也;當然也是「維持現狀」國策的第六項惡果。
意志是現實命運的起點──無論對於個人,還是國家,皆無二致。
理想充沛之國方能湧現出堅定明確的國家意志,以「扼住命運的咽喉」,主宰現實命運。
「維持現狀」是屬於庸俗鼠輩政客的心態。我使「維持現狀」的心態沐猴而冠,成為國策,其結果必定是用猥瑣的功利實用主義取代國家理想。
哲人有箴言警世:「無理想者,無未來。」一旦喪失國家理想,台灣人民不僅隨之喪失未來,而且註定輸掉現實──
沒有未來者,不可能贏得現實。
執政一年來,各項轉型正義的舉措社會效應不彰,沒有以高屋建瓴、天河倒傾之勢,形成超越政治族群的關於正義和公理的認知。
由於失去「國家正常化」理想,這個核心價值依據,竟使社會產生深刻的疑慮,即民進黨政府推行轉型正義不是基於國家根本利益和公義,而僅是出於黨派私利,為選舉考量,藉機打擊政治異己。
轉型正義首先意味著精神領域內的一場自由民主革命,其目的在於徹底清除黨國威權專制的價值觀念,確立「國家正常化」理想,確立自由台灣的國魂。
背叛「國家正常化」理想,同背叛轉型正義的核心價值是同一回事;國家理想湮滅於「維持現狀」的庸俗功利主義,所謂的「轉型正義」就喪失了公義之魂。
摧毀轉型正義的國家理想的價值基石──這是「維持現狀」國策之第七項惡果。
馬英九執政八年,國民黨權貴與奸商惡賈沆瀣一氣,威權專制主義在價值觀念、經濟、政治、司法各領域全面回潮。面對此種狀況,實施深徹改革已經成為自由台灣生存和發展的第一要務。
然而,民進黨全面執政一年以來,各領域的改革進程幾乎無一不呈現出混亂無序、滯礙難行之情勢,有的改革項目甚至陷於進退維谷之困境。
愁腸百結,長夜難眠;經罪己反思,終悟當前改革不行之根本原因。
改革必然比抱殘守缺、苟安於現狀更艱難;深徹的改革必然要承受刮骨療毒之痛。因此之故,形成願為改革承擔艱難、承受痛苦的社會主流意識,乃是改革成功的前提。
以煌煌公義為目標,以國家理想為價值依歸,改革才能獲得主流民意擁戴的道德基礎。人不怕艱難困苦,只怕沒有希望。而國家理想乃是與公義一致的希望,是希望「王冠上的明珠」。
當前,唯有「國家正常化」的理想,這個從台灣人民四百年的血海淚濤中湧起的國格尊嚴的希望和信念,成為改革的根本方向和價值依歸,改革才可能產生感動時代的精神魅力,才會激起人民共赴時艱,共渡危難的救國之情,從而為公義而抑私利,以求改革成功。
令我有噬臍之悔之處在於,設立「維持現狀」之國策,遂將「國家正常化」理想束之高閣──改革因之失去國家理想主義的大公大義之方向,也找不到根本的價值依歸。
迄今為止,多項改革猶如失魂落魄之酒鬼,徘徊踉蹌於無星月之暗夜,其終極原因端在於此。
致各項改革或躊躇不前,或荒腔走板,特別是司法改革大失民望,此乃「維持現狀」國策之第八項惡果。
中共暴政在基本完成對蒙古人的文化性種族滅絕之餘,又將國家恐怖主義發揮到極致,繼續對藏人和維吾爾人的自由運動實施鐵血摧殘。當代藏人和維吾爾人的人權劫難震撼人類的良知。
自由台灣同樣受到中共強權的主權逼迫,本應與藏人、維吾爾人同仇敵愾,共抗強權。然而,就任總統以來,對於台灣良知人士邀達賴喇嘛訪台事,我閉目塞聽、「假癡不癲」、裝聾作啞,宛似濁泥之塑,朽木之雕;更有甚者,放任外顯堂皇之氣、內藏卑鄙之心的小人,假「此時訪台不方便」之說,遠拒維吾爾人的精神領袖熱比婭於千里之外的日本。
我之所以這樣作為,端因畏對岸強權如鼠輩畏虎狼,在中共逼迫的鋒芒前噤若寒蟬,不敢越雷池半步,以至於避人權大劫難中的藏人和維吾爾人如避水火,棄人類道德公義如棄敝屣。
國有凜然之正氣,必成俠義之邦;遵「維持現狀」之國策苟且圖存、忍辱偷生之國,只能在國際社會輕蔑的斜視中趨向沒落。
假如台灣對其他族群的人權劫難與苦痛,只會冷眼旁觀、冷血以對,又怎麼能指望台灣面對中共強權的終極主權逼迫時,得到人類社會的同情與支持。
俠義之邦必有天佑;冷血自私之國必遭天譴。
「維持現狀」之國策誤我至深;而我誤國事,使自由台灣不能以俠義之邦的名義感動世界,使自由台灣的國格蒙受冷血自私之羞──
此乃「維持現狀」國策之第九項惡果。
自由台灣的國運面臨前所未有的嚴峻挑戰。為戰勝挑戰,需要舉國同心,共赴國難。然而,「維持現狀」國策以世俗庸人的苟安之心態為價值核心,完全沒有以創造歷史的激情和壯麗的國家理想召喚民心民意的精神魅力,反而使國格陰柔昏冥,國家意志迷茫晦暗,自由台灣正在淪為無魂之國──
「維持現狀」意味著維持保留重重「黨國」斷垣殘壁的「憲政體制」,而台灣國運將因此繼續被囚禁在歷史的陰影中。
正由於國家願景不明,台灣社會至今陷於意識形態的混沌紛亂,難以自拔。「黨國」的遺老遺少,以及投共賣台的無恥政客、文人,仍然有空間在媒體上搖唇鼓舌,巧言令色,以至於欲滅自由台灣主權的「九二共識」幽靈不滅,恐共媚共之論甚囂塵上;與中共暴政「終極統一」之說,隨「愛國同心會」裸奔暴走、狼奔豕突於台北街頭;「蔡英文欲效馬英九,與習近平作政治幽會」的傳言,隨綿綿雨絲,無聲滲入台北暗夜,而陳德銘甫一拋出「一中分治」之說,又激起我倚為股肱智囊的宋楚瑜、許信良等讚聲不絕,遐思艷想無限。
種種意識的亂象中,自由台灣的國家理想似乎要變成逐漸遠去的背影;社會精神分裂之下,有預言指稱,我將陷台灣社會於分崩離析之境。
智者警世曰:「舉國同心」絕不意味著與投共賣台勢力的沆瀣一氣,而必須以國家理想,即「讓自由台灣成為正常的壯麗國家」,做為全社會的共同信念。
唯有「國家正常化」理想成為國策的核心價值,自由台灣才能找回屬於自己的國魂;台灣社會才能建立起以全民根本政治利益為基石的「台灣共識」。
罪己反思至此,「維持現狀」國策之第十項惡果已呼之欲出──其惡一言以蔽之:使台灣淪為無魂之國。
五、「紅焰成灰,我心未死」
「維持現狀」國策十惡俱足,貽誤國事甚深,戕害國運甚烈。反思罪己之餘,我有寒風裂骨之痛,紅焰焚心之苦。
然而,白骨雖裂,報國之志猶存;「紅焰已然成灰,我心依然未死」。
自由台灣宿命地走上大爭之世的刀鋒,面臨危險與機遇並存的國運轉捩點。在此艱難的時刻,我誓從罪己反思的浴血苦痛中崛起,以奔馬逐長風之激情,以堅逾鐵石而又明澈如玉山之雪的理性,履行總統天職,重振自由台灣之國運,再造自由台灣之輝煌。
為實現此誓言,我決意將「維持現狀」之論裝殮入鐵棺,「沉於北海」,並重設再振國運六策,以告天地,以安社會,以聚民心,以向未來。
再振國運第一策:透過發布總統令,確立「實現國家正常化」為國家理想和執政總綱。
值此大爭之世,對於自由台灣,如果沒有勇氣自己肯定自己,就沒有人會肯定你;如果不敢自己確認自己,在國際社會就沒有立足之地。確立「實現國家正常化」為國家理想和執政總綱,就意味著自由台灣在根本之點上展示出肯定和確認自己國格的政治自信。
「國家正常化」有兩項要點。
其一,廢止歷史強加給台灣的謊言憲法,以及清除殘留在台灣國格標誌中的威權專制遺跡,創制與台灣現實命運一致的憲法和國格標誌,從而實現台灣人民活在真實國家中的權利。
其二,以獨立的國格和體現自由民主價值的國格標誌,開拓國際社會生存空間,成為國際社會中與各國平等的一員,以實現台灣人民活在國家尊嚴中的權利。
確立國家理想和執政總綱,乃是確立自由台灣的國魂之舉。國魂朗朗,以昭日月,方能為形成「台灣共識」提供精神凝聚力;方能為形成明確的國家意志和方向提供價值基礎。
當前國內的情勢之下,確立「國家正常化」的國家理想和執政總綱,需要有「氣吞萬里如虎」的英雄意志。不過,具體推動「國家正常化」的進程,則必須深謀遠慮,全局策劃,運用巧奪天工的策略智慧,堅定不移、積極進取與謀定後動、穩重有序並重,方能收到創造歷史之效。
再振國運第二策:在事關國本的海峽兩岸關係領域,確立台灣的「國家底線原則」。
中共和國民黨以「九二共識」之名,逼迫自由台灣出賣事實獨立的主權,進而剝奪臺灣人民決定台灣命運的權利。執政以來,我借「模糊數學」之意,欲以「模糊政治」應對來自國共兩黨的內外相煎、上下交征的逼迫。
可悲之處在於,「模糊政治」既沒有使中共強權放棄覬覦台灣主權的虎狼之意,也沒有改變國民黨權貴「聯共制台」的蛇蠍之心,反而使台灣的國家意志曖昧不明,藏首縮頸,盡顯「醜媳婦怕見公婆」的猥瑣之形──嗚呼哀哉!我誤國矣,使自由台灣國格蒙羞。
沉痛懺悔之餘,我必一掃「模糊政治」沉鬱陰晦之氣,以「國家底線原則」,在國共兩黨的逼迫前,確立自由台灣的堂皇國格和大氣磅礡的國家意志。
台灣人民決定自己命運和台灣前途的權利神聖不可侵犯;事實獨立的主權是衛護自由民主生活方式的堅盾,誓死不可放棄──
這是自由台灣必須堅守的核心政治利益,也是我用以應對國共兩黨「九二共識」和「一中原則」的台灣「國家底線原則」。
「國家底線原則」意味著台灣以獨立國格存在的生命線,因此,也是台灣處理兩岸關係的基本原則。台灣人民必須像忠誠於自己的靈魂一樣,忠誠於「國家底線原則」;必須像堅守自己的生存權一樣,堅守「國家底線原則」。
為應對中共踐踏自由台灣人民主權的「反分裂法」,民進黨將推動制定「反吞併法」;民進黨還將透過再次修改「公投法」,實質上還權於民,一勞永逸清除相關法律障礙,以使台灣人民能夠真正實現決定自己命運和台灣前途的權利。
再振國運第三策:斬斷中共套在自由台灣脖頸上的經濟絞索,衝決中共全球圍困自由台灣的經濟羅網,開拓多元化對外經濟關係。
中共強權信奉一個原則,即經濟是政治的延續。因此,中共對台經濟關係的起點和歸宿,都在於實現其謀殺台灣事實獨立之主權的政治意志。
馬英九和國民黨全面執政時期,以開門揖盜之意,洞開國門,使中共強權的經濟能量如洪水滔滔,湧入台灣;其所作所為,無異於助中共強權把一條又一條經濟絞索套在台灣的脖子上,而中共強權謀台的政治意志正是隨時準備勒緊經濟絞索的鐵手。
不久前,中共強權因「薩德」問題對韓國的經濟圍獵,乃是中共借經濟能量將自己的政治意志強加於他國的最新例證。
事實如刻在鐵碑上的警誡,宣示一個真理:「徹底改變馬英九執政時期形成的對中共權貴市場經濟體制的依賴,在全球範圍內開拓多元對外經貿關係,乃是自由台灣唯一的生路。」
──讓這個真理轉化成國家經濟政策的基本方向和具體內容,是政府經濟工作的第一要務。
台灣民間從不缺乏創造經濟奇蹟的潛在能量,台灣人也從不缺乏出類拔萃的經濟智慧。現在政府必須履行的首要職責,在於凝聚社會共識,形成救亡圖存的國家意志,激勵全民共赴國危,將台灣民間的經濟潛能和台灣人的經濟智慧,鍛造成殺出經濟困境的長劍。
有人說「商人無祖國」。此言大謬。
我願說:奸商惡賈才會因圖利而忘邦國;良知燁燁如星辰日月的台灣商人,定將為美麗寶島、自由聖地、故國熱土的生存和發展而積累財富,並承受必須承受的經濟艱難。
有人說:「包括勞工在內的台灣庶民勇於為私利而鬥,怯於為公益而戰。」此乃偏狹誣衊之言。
我深信,只要瞭解到中共強權「窮台戰略」的燭天惡意,以及台灣由此不得不面對的嚴峻經濟危機,台灣民眾必會同仇敵愾,眾志成城,蹈千難而履萬險,忘私利而赴公益,共克時艱。
意志,是包括經濟活動在內的一切人類社會活動的起點。
做為總統,我的全部經濟職責可以歸結為一個關鍵點,即向天下宣示如下意志──
為了自由台灣的國格不滅於中共強權的「窮台戰略」,為了實現「國家正常化」的理想,台灣人民必須付出一切不能不付出的代價,必須做出一切不得不做出的個人利益犧牲,必須克服一切無法迴避的艱難,再創經濟奇蹟,再現龍騰虎躍之相。
再振國運第四策:確立「國家正常化」理念為轉型正義的價值依歸,以及全面深徹改革的根本導向。
轉型正義本質上是精神領域的一次徹底訣別威權專制、確立普世價值的思想大變革,是社會意識的浴火重生;全面深徹的改革,則是轉型正義精神成果的現實制度表述,是思想大變革的實效性體現。
轉型正義和全面深徹改革同自由台灣的國運息息相關。為徹底掙脫威權專制的意識形態束縛,在精神領域進入現代化國家的行列,就不能不實施轉型正義;為免於繼續迷失在威權專制遺留的制度性殘跡的歷史廢墟間,為走向公義社會,就必須進行全面深徹的改革。
執政一年,轉型正義與全面深徹改革無時無刻不在我心中。
然而,轉型正義之途坎坷艱難,諸項改革滯礙難行;黨國遺老遺少和國民黨權貴仍有負威權專制制度殘跡之隅而頑抗的空間,社會輿論對轉型正義與改革的觀念也紛亂如麻,莫衷一是。之所以出現上述現象,歸根結柢在於,「維持現狀」國策的價值取向與轉型正義及全面深徹改革的時代要求南轅北轍。
「萬山磅礡,必有主峰;龍袞九章,但挈一領。」轉型正義唯有以「國家正常化」理念為價值依歸,才能超越黨派私利,與國家根本的政治利益一致;全面深徹的改革唯有以「國家正常化」理念為導向,才會目標清晰,道路明確。
我願特別強調,司法是社會正義的最後一道防線,因此司法改革乃全面深徹改革的當務之急,首要之舉。
應當通過特別立法,對「陳水扁案」、「郭瑤琪案」等引起社會廣泛質疑的案件進行特別調查,以查清案件訴訟程序中是否有非法關押、違法起訴、枉法審判、政治操縱司法等違法犯罪行為──一旦相關事實大白於天下,威權專制殘留的司法體制的具體危害也勢將隨之暴露在陽光下。
以對上述典型案件調查的結果做為突破口,針對暴露出來的弊端,推動檢查司法體制的全面改革,迅速建立與實現司法正義要求一致的檢查官、法官任用罷黜制度;果斷放棄威權專制時期遺留下來的具有「法官職權主義」傾向的審判程序,實施「當事人主義」訴訟模式和人民陪審制。
再振國運第五策:外交政策的核心在於彰顯自由台灣的獨立國格於國際社會,為 「國家正常化」以及加入聯合國的戰略目標創造國際政治條件;同時,以台美之間潛在但卻真實的政治軍事同盟關係為支點,在全球範圍拓展實質外交,衝決中共強權對自由台灣的外交圍困,爭取更加廣闊的國際生存空間。
為貫徹上述外交國策,台灣社會至少必須澄清兩項迷思。
其一,某些已淪為中共強權思想鷹犬、理論喉舌的台灣媒體、政客、文人、名嘴,持續散播一種似是而非的意識,試圖惑亂台灣社會輿論。此種意識一言以蔽之,曰:台灣應當平衡對待中共強權和美國的立場,以免兩強相搏,台灣受池魚之殃。
上述意識貌似「公允」,實則害台誤國的陰毒之論。在此,我以台灣總統之名宣示:「在中美之間絕不搞平衡,並勢將全面強化台灣與美國在政治、軍事、經濟各領域的實質性盟友關係──這是自由台灣生存所必須的選擇。」
我作出上述宣示的理由簡單而明確:美國的「與台灣關係法」和「對台各項保證」,構成台灣國際安全的重要基點之一;中共強權則公開宣稱,滅絕自由台灣事實獨立的主權、剝奪台灣人民決定自己命運和台灣前途的權利,乃是其「核心利益」──
中共強權是世界上唯一以摧毀自由台灣國格、國體為戰略目標的國家,也是當前自由台灣國家危機的唯一來源,中共強權正運用其全部國家能量,在國際政治、經濟、文化和軍事所有領域,欲置自由台灣於絕境死地。
一為事實上的盟國,一為欲滅自由台灣主權而後快的敵意如熾之國,要求台灣在這兩者之間搞平衡,豈非不辨善惡的大荒謬。
有必要再次重申:要求台灣平衡中美關係的說辭,意在惑亂台灣民心民意,離間台美實質的同盟關係,為中共強權謀台戰略效犬馬之勞。
其二,中共御用宣傳機器如群蛙鼓譟,不厭其煩,論證美國很可能把台灣當作與中共進行利益交換的籌碼,而不可能為保衛台灣與中共一戰──中共強權欲以此論散布恐共媚共的迷思,瓦解台灣衛護主權的意志。
中共御用宣傳機器的上述鼓譟,又在台灣某些政客、文人、名嘴的口腔裡激起喧囂刺耳的回聲。回聲甚囂塵上,迷思如東亞大陸霧霾入侵台灣上空。因此,有必要掃蕩迷思,還台灣社會意識一片朗朗乾坤。
是的,毫無疑問美國不會只為保衛台灣的利益而戰,但是,美國會為自己的國際利益而對抗中共極權主義全球擴張。
對世界作縱橫觀,美國與歐洲北約諸國,以及日本、韓國都分別結成同盟國關係,並承擔相應的作戰義務,即同盟國受到戰爭威脅時,美國將為保衛同盟國的安全而戰──
這並不意味著美國慷慨到會用自己士兵的血為其他國家的利益獻祭,而是因為盟國的安全與美國國家利益有「唇亡齒寒」的一損俱損的關係;為同盟國的安全而戰,就是為美國的國家利益而戰。
美國重申「與台灣關係法」和「對台六項保證」,並不是因為美國政客有抑強扶弱的俠義精神,而是台灣事實獨立的主權存在,有利於東亞乃至世界和平,有利於人類共同的自由事業,有利於美國反制中共極權主義全球擴張的國家戰略和國家利益。可見,結論就是:美國不會為台灣而戰,但是,美國會為自己的國家利益而與自由台灣一起,共同抗擊中共強權武力進犯台灣。
當然,美國是否會因台灣而戰,首先取決於台灣人是否具備為衛護主權和國格而同任何強權決死戰的勇氣和血性。在此,我願代台灣人向天地盟鐵血之誓:「我們可以捨棄生命,但絕不放棄自由人的尊嚴;有敢犯我自由台灣者,失道寡助,定遭天譴地責,雖強必敗!」
在風雲際會的大爭之世,台灣唯有敢於自己肯定自己,並展示出自己確認自己的自信,才可能免於淪為別國的籌碼,並贏得國際社會的尊重。
強化台美事實存在的同盟關係是我們的基本國策,但是,台灣也有屬於自己不可動搖的「國家底線原則」,我們會讓包括美國在內的所有國家毫無疑義地瞭解台灣的國家底線,以昭示「台灣有獨立的國家意志,台灣是自己命運的主人;任何國家都不要指望自由台灣會成為別國的籌碼。」
再振國運第六策:「遠小人,近君子」,重鑄國魂,以召天下賢能共克國之大難,共襄國之盛事。
執政者為政之要,首在選賢與能。就職總統一年,國事紛亂如麻,國運陰晦不振,重要原因之一,可歸之為我任用的行政團隊缺乏承擔國家公器大任的政治道德素質和實際運作能力。若欲改變這種狀況,必遵「遠小人,近君子」之千古明訓。
當前,「遠小人」之意在於,遣散熙熙攘攘於總統權力周圍那些油頭粉面、巧言令色以奉上的「政治小寵物」,黜退不思進取、抱殘守缺的「老藍男」,左遷「坐談立議無人可及,治國安邦實無一策」的庸官,罷謫戀權謀私、不思公益的俗吏。
小人退,則君子進。
在此,所謂君子者,乃心如赤焰、直陳謀國的錚錚鐵骨之人;乃奉「國家正常化」為政治理想和執政之要的銳意改革進取之士;乃忘我克己而憂心國事、奉公無私以紓國難時艱的能員幹吏。
此前行政團隊中「小人」蜂集蟻聚的原因,根本在於我一度確立「維持現狀」為基本國策。「維持現狀」的苟且偷生意識之下,國家願景如晦,國家權力意志猥瑣曖昧。這卻正是鼠輩政客可以春風得意的政治狀態。
罪己反思之餘,我走出「維持現狀」的白日昏聵之夢境;將「國家正常化」的理想,捧上權力之巔,我願以此重鑄國魂,廣召天下英才賢能,再組行政團隊,為使台灣國魂輝煌於歷史的天頂,為「讓自由台灣成為壯麗的國家」,殫精竭慮,鞠躬盡瘁,雖百死而不悔。
六、結束語:選擇決定未來
是在「九二共識」的魔咒下沉淪,或者在「維持現狀」意識下苟且偏安,直至「現狀崩潰」,還是追求「國家正常化」的高貴理想,以贏得活在真實中的權利──
台灣人的選擇將決定自己的命運和自由台灣的前途。
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